序章-4時間犯罪者  crime against time

 …連中も中々やるようだ。『暁』でも苦戦したあの兵器をここまでやるとは。やはり『時空省』とはそれほどの面子をそろえているという事か。

 

 

 どうやら、リーダーの『ペイン』に報告する必要がある。『尾獣』を捕まえるまでの時間は十分あるが、我々の『契約者』のいう事が本当ならば…『消す』しかないだろう。

?「どうかね、我が『ブラックゴースト』が改造した兵器の調子は、『うちはマダラ』殿。」

 

どうやら、俺と同じく異世界からの住人がきたようだ。『松永』『ゲマ』と同じように、我々はこの世界の住人ではない。無論、この『うちはマダラ』もだ。

 マダラ「いい代物だな。とはいえ、我々の世界では通用するかどうかは分からんがな。」

俺は、全身黒ずくめの『サイボーグ、スカール』という男のいるほうを振り返る。改造人間というものも、滑稽なものだ。敵の戦闘風景を見ながら、我々『時間犯罪者』

は話を進める。

 

 スカール「ふっ、まぁ見れば分かるだろう。武器の供給は。我々と『NESTZ』に任せていただきたい。それよりも、君が集めて回ったお仲間さんはどれくらいに上るか、

教えていただきたい。」

 

 俺は、仮面からかすかに見える片目を光らせながら答える。

 マダラ「流石に、この俺とて自由に異世界には行けん。それでも、人間レベルでは、十二分に通用する者たちだ。」

 それを横で聞くゲマは驚嘆の声を上げた。正直、なぜおれがこのような男と付き合わねばならんか分からんがな。俺の心中なぞ、知ったことと言わんばかり、奴は話を続ける。

 ゲマ「流石は、音に聞くうちはマダラ。私が崇拝する魔王様もお喜びになりましょう。」

その言葉に、俺は呆れの感情で一言返す。

 マダラ「その魔王とやらを復活させたのは、我々だったことをよく思い出すのだな。人の苦労を知らずして語ってもらっては困るな。」

 

 

 ?A「確かに、それは困ますな。わしらもこうしてあなた方に付き合っているのです。」

  ほぅ。この声は、平行世界の魔王『ギリ』の手下、確か名は『カヤ』とかいう老人だ。

マダラ「ほう、あなたがわざわざここまで来るとは。という事は、そちらも話を進めてきたか。」

俺が話を進めようとすると、再び誰か現れたようだ。

 ?B「ファファファ、こちらも知り合いと幾人か話をしてきたぞ。」

 威圧的なその声は、どうやら『エクスデス』のようだ。巨大な体躯に青い鎧を着けた『大魔道士』は威圧的に話すが…

 マダラ「うむ…それは良いが、相変わらず目立つ男だ。」

 

 エクスデス「まぁ、そういうでない。目立たぬように結界を張っておる。問題は無かろう。」

自信ありげに話すその魔道士に、カヤも顔を近づけて話す。

カヤ「まぁ、それなら問題ないでしょう。ばれなければ問題ない。…おや、どうかしましたか?」

エクスデスは心の中で『いやっ、顔が怖いなどと失礼なことを言うわけにはいかんのだが。これは少々恐怖を感じますな。』

と思っていたようだ。軽く咳ごみをした魔道士は

 

 エクスデス「いや、気にしないでもらいたい。それよりも、今の状況を説明してもらおう。」

 ゲマ「それでは、私が説明いたしましょう。かの者たちは、キラーマシンを倒して、BISSと戦闘中です。流石に、苦戦を強いられているようですな。」

 我々は新型兵器を見つめ、戦況を見つめる。果たして、奴らはどう出るのか…楽しみだ。

 

 …あれからかなり時間がたった。そろそろ、決着をつけなければならないだろう。敵はマシン一体、早く片付けてゆっくりと休みたいものだ。勿論、仕事を

終わらせてからだ。

 エドワード「このままだと、埒があかないな。」

 アルフォンス「そうだね。何か弱点は無いかな…。」

 百人以上の相手に互角の戦いを続ける怪物相手に手も足も出ない。そんな状況に一人、一瞬のすきを逃さないよう『ガンブレード』を構えている。

 スコール「…俺は、奴の弱点を知っている…」

 その言葉に皆思わず声なき声を上げる。彼は、敵の弱点を知っているのだ。一旦後ろに下がった彼は、中尉の横で銃を構える孫一に話しかける。中尉はその様子をみて「何かしら?」と思いながら 二人を見つめる。

 

 

 

 何やらひそひそ話を続け、しばらくすると

 孫一「それはホントか!で、その弱点ってなんなんだ?」

 と一瞬戸惑う声をあげた。しかし、この仕事は俺にしかできないと言われ、さらには給料割増という話に乗ったようだ。というより、乗ってしまったのだが。

  しかし、そんな話をよそに、兵の士気はあまりにも低い。

 兵士A「あぁ~、このままじゃ大佐に叱られちまうぜ。」

 兵士B「その前に、ホークアイ中尉に銃の的にされちまいそうだ~。」

等とぼやきを入れているとき、巨大な金属音がする。

 この二人は見逃していたため何が起こったのか、近くの同僚に話しかける

 兵士A「おっおい!何が起こったんだ?」

 銃兵「いやぁよ!あそこの黒くてふかふかした服着てる兄ちゃんが、敵の左翼をぶった切ったのさ!」

 彼ら以外に、我々も驚く。これが伝説の傭兵『スコール・レオンハート』の『連続剣』を初めて見たのだ。

 

 

 ホークアイ「…すごい、あのような技、見たことがありません。」

 それはそうだろう。敵のもとに走っていく彼は、巧みに敵の攻撃をかわしつつ、素早く敵を切り刻んだのだから。

まず、レーザーをかわす前に一回、そのまま左翼の乗っかり二回、ミサイルをかわしながら、さらにバック宙しつつ更に二回切った。この間、0.9秒である。

 

 マダラ「ほう…、あれがスコールとかいう男の剣技か。」

 『忍』の世界ではあのような剣技を見たことは無い。初めて見る。そのことを奴と戦ったことがあるというエクスデスに聞く。

 マダラ「珍しい剣技だな。武器自体も、かなり珍しいが、説明をしていただけるかな?」

 エクスデス「うむ、お教え進ぜよう。奴の持つ『ガンブレード』はその名のごとく、あたかも銃の形を象っているのがお分かりであろうか?」

 

 

 彼の言うように、剣の先から持ち手まで、銃のようなデザインだ。しかも、引き金までついている。

 マダラ「なるほど、体の動きもそうだが、あの剣は引き金を引くことにより振動が剣を伝わる。その振動の力で、『電動のこぎり』と同じ要領で敵を斬る、

そういうわけだな?」

 

 

 エクスデスはファファファと笑い、「左様」と返答した。

 エクスデス「だが、本体さえ残っていれば、一部破損が出ようとも問題は無いと『アルティミシア』から話は聞いておる。ここからが本番よ。…む?松永は

何処に行きましたかな?」

 マダラ「あぁ。今『異世界中』に流れている例のアレを回収しに行った。」

 スカール「そうか!派手にやったかいがあるものだな。これで、我々もうまくいくというものだ。あの『マーレ』とか名乗っている学者にいい報告が出来そうだ。なぁうちはマダラよ。」

確かに、そうことがうまくいけば良いがな。そう話しているうちに、右翼も斬られたようだ。

 

 …さて、もうすぐだ。ついに、本体を残すのみとなった。後は、とどめを刺すだけだ。スコールの活躍は、そこにいる全員の士気を大きく高めることとなった。

 だが、最後目で気を抜くわけにはいかない。最後に何か隠しているとも限らないからだ。

ここで、辻谷君が最後に気合を入れるため、スコール何か言おうとしているようだ。

 辻谷「スコールどん!」

 その問いに、「なんですか。」と答えるスコール。

 辻谷「わっぜか気合ば入れんと、けがすっど。ここは『チェストー』といえば何とかなるバイ。」

 凄まじい薩摩訛に困惑しながらも、「…わかりました」と冷静に答える。ただ、チェストーと言うつもりは無いようだが。

 

 

 スコールは、一瞬のすきを狙っていた。それは、敵が『フレア』という技を使う瞬間である。この技を使うとき、マシーンの腹部が開くからだ。

 そして、敵は想定どうり『フレア』を使う準備を整える。スコールは、ガンブレードを構え、いかにこの剣を突き刺すか見極めていた。隙を逃さず敵の懐に飛び込み、

そして斬る。失敗すれば、己が消し炭になる。チャンスは一回、精神を統一し、心を鎮める。

 小さな火の玉は、次第に大きくなっていく。これが敵の技『フレア』。とてもチェストとかは言える心境ではない。

 我々も、息をのみ一人と一体を見つめる。…長い間のように感じたが、おそらくそれほど時間は立っていないはずだ。

そして、スコールはついに敵目がけ走り始める。

 

 

残り三秒、本体腹部が開き始める。

残り二秒、双方技を放つ準備が出来る。

残り一秒足らず、スコールは、ガンブレードの引き金を引いた。

 …長い三秒が過ぎた。一体どうなったのか、あたりは静寂に包まれる。我々は、全身の力を込め敵に立ち向かい力尽き、その場に倒れこむスコールに目を向ける。

 BISSは、スコールを確認するため、後ろを振り返る。だが、振り返ろうにも体は半分になっていてはそのようなこともできなかった。

 

 

スコールは、倒れこみながらも勝利を確信していた。この手で間違いなく敵を撃破したのだ。火花を散らし、倒れこむ殺人兵器。そして、あたりに響き渡るは勝利の声である。

 

  エクスデス「残念でしたな。もう少し、足止めして貰いたかったのだが…」

マダラ「まぁ、構わん。どうやら、『本来の目的』は終わったようだからな。」

我々のもとへ帰ってきた松永は、箱のようなものに入れた『あるもの』、を見せに戻ってきた。

松永「これで、我々も帰ることが出来るな。しかし、こうしてみると派手にやったものだな。」

 スカール「まぁそれでも貴様の今までやったことに比べれば『些末 些末』という事であろう?」

松永はその言葉を聞き、にやりと笑う。まさに、この男が何たるかわかる仕草である。

 

 マダラ「さて、しばらくは元の世界で大人しくするとしよう。俺は先に、『ドン・クリーク』のもとへ行かねばならんがな。」

 エクスデス「そうか。なら儂も力を蓄えに戻るとしよう。それでは、皆々解散じゃ。」

 そうして、我々はあの男の復活に備え、誰にも気づかれずに元の世界に帰って行った。

さて、お前たちは何故このように我々が連合を組んでいるのか謎であろう。それは、時期分かる。楽しみにしているのだな。

 

 

 山本「…やはり、何度やっても同じ結果か。もう松永たちもこの世界にいないようだし、早く元の世界に帰りたいんだけどなぁ…」

 私は、右腕に着けている『時空異常観測機』に目をやっている。この世界に来たときは五段階評価でC、すなわち『異常あり』と出ていたが、

 今はE、『異常なし』と出ている。そろそろ『長官』に報告に帰りたいのだが…

 医者A「セイイチ・ヤマモトさんですね。退院まで、あと四日程ありますが、あなたの驚異的回復力だと、あさってには治るかもしれませんね…」

 

 

 どうやら、怪我が完治するまで後最低で二日はかかるようだ。まぁ、時空省に戻ったら、時空法第30条『時空間移動をする者は、(以下略)法に定めるところの若返りを図らなければならない。」

というものを適用するからいいのだけれどね。

 この法律は、時に異世界で何年も仕事をした際、時空省に戻ると当然年取ったまま戻ってくることになるんだけど、これも同21条に『時空間移動をする者は(以下略)例外を除き、元の世界から

異なる時空に行く際、もとの世界に一週間以内に帰還しなくてはならない。』という法律のせいで作られたんどね。

たとえ話をすると、僕達が出発した時、もとの世界では2599年2月15日でした。なので、一週間後の同2月22日までに帰らなくてはいけないというわけだ。

 

 

 しかし、別世界で基本一か月以上仕事なんてよくある話だ。それでも、もとの時代に帰る際、間違っても8日後に帰るよう日程をセッティングしちぁ駄目という事だ。

じゃあ、こちらの世界で一週間を過ぎて仕事した場合はどうなるか。そう、日程超過分『時間逆行機』か何かでその人の体年齢を元に戻すのだ。

 

 

 そういうことで、私は今こちらの世界に来て一週間ちょうどたったから、時空省に戻ったら約二日分若返りをすることになるわけだ。時間の矛盾を解決するための法律だけどね。

 説明が長くなってしまったけど、戦いが終わった瞬間気絶して、ここまで運ばれたというわけだ。私は、担当医と適当に話を済ませ、辻谷君のいる病室まで移動する。

どうやら、鋼の兄弟も同じ病室であるようだ。それと、少女の声も聞こえてきた。

 ?「あ~もう又『機械鎧』(オートメイル)をこんなにして!!もうどうしてエドは…」

 何やら、怒号が飛び交っているようだ。私は何があっているのか、こそっと覗こうとする。すると、どこかで聞いたことのある声がする。

 

 

 ??「エドーワード、君も何かと大変だね。」

 エドワード「いやっ、まぁそうだな。一応これでも幼馴染だしな…」

 ?「ちょっと、エド!それどういう意味よ!」

 そうして再び小言が始まる。中々、入りづらい状況だ。 仕方がないので自分の病室に戻ろうとすると、軍服を着て眼帯を着けた人がやってくる。こうして書くと非常に威圧的な見た目だが、

 ???「おや、君がヤマモト君ではないかね?」

と話しかけてきたその人は、にこやかな顔である。この人こそ、この国のトップ、『キング・ブラッドレイ大総統』だ。

 山本「はい、私が山本で間違いありません。」と律儀に返す。

 

 

 大総統「うむ、実に好青年という風貌だ。中々君のような青年に出会う機会が最近減ってしまって、少し残念に思っていたが、たまには市井に出てみるものだな。」

大総統は、私をにこやかに見つめた後、私に質問を投げかける。

 大総統「そういえば、君たちにかこの私に用があったらしいが…」

 山本「それが…この国に私たちの国から指名手配犯が侵入したことを大総統閣下に連絡するはずだったのですが…どうやら、もうこの国から出国してしまったらしいのです。

この国に奴らがいたなら、もう少しこの国にとどまりたかったのですが、怪我が治り次第、国に帰ることとなりました。」

相手は頷き、私を見つめた後、辻谷君たちのいる病室に目をやる。

 

 大総統「うむ。君とここで話をするのもよいが、ゆっくりこの中で話を聞こう。」

 お言葉に甘えた私は、その病室に入る。すると、辻谷君とエルリック兄弟のほかに誰か別にいる。一人は異世界から来た医学生、もう一人は、恐らくエドワードの

言っていた幼馴染なのであろう。一番の驚きは、何故彼がこのようなところにいるのかということだ。

名前を先にいうなれば、『ジュード・マティス』。『リーゼ・マクシア』という異世界の人物である。以前、私の仕事の都合で彼の手伝いをしたことがあったが、何故ここにいるのかは極めて謎だ。まぁ多分、時空省人事担当『宇和島 光』さんのせいだな。『厳島』長官には知らせたのかな?もしかしたら、『室長』の仕業かも…

等と考えている暇はない。もう一度よく見つめると、間違いない。この白衣の青年はジュード君である。私は、彼に簡単なあいさつを済ませる。

 

 

 彼と出会ったのは、異世界探索の開拓中でのことだ。しかし、彼もパラレルワールドに縁があると言えよう。詳しいことを話せば長ーくなるが、彼は友人のおかげで

時空のゆがみを正すことに精を出していたこともある。こちらの世界には時空のゆがみは存在していないので、一切問題はない。

 

 一方。エドワードと何やら賑やかしく喧嘩をしている女の子は誰だろうという事だ。右手にはスパナが握られていることを考えれば…、オートメイル技師なのだろう。

 エドワード「いやっ、そういわれてもよ『ウィンリィ』。何故かこの人たちに巻き込まれてな!」

エドワードは、私のほうを指さしながら、『ウィンリィ』という名の女の子に物言いたげな表情をする。

 ウィンリィ「なーに、何かあの人に文句でも言いたいわけ?言っとくけど、オートメイルを壊したのはあくまであんたのせいなんだから…」

 

 

どうやら、今の一言で彼は完全に固まったようだ。隣では、辻谷君とジュードは苦笑いを浮かべる。

 ジュード「はは。全く、彼女には敵わないみたいですね。」

 辻谷「どうやら、その通りだな…。おっと、そういえば、もっさん!そこにいたのか。」

やっと私に気が付いたようだ。私は皆に現在の状況を聞くため話しかける。

 山本「はは、まぁ元気そうで何よりだ。それに、ジュード君。久しぶりだね。」

 ジュード「はい、お久しぶりです。それにしても結構、ひどい怪我みたいですね…」

 山本「ま、怪我はこの仕事につきものさ。そういえば君は何故ここに?」

 ジュード「はい、僕は『室長』さんの指示でここまで来たのですが…何か役に立てれば僕に何か言って下さい。」

 

 

私は彼に感心しながら話を聞いていた。まだ十代後半というのに、しっかりした青年だ。医学生というのは、結構こんな人が多いのかな?

 大総統「うむ、君がジュード君かね。話は聞いている。…うむ、中々見どころのある青年だ。これからも、精進したまえよ。」

と激励の言葉をかける大総統。そして、次に目をやるのはエドワード君だ

 大総統「どうやら、今回も手柄を立てたようだね、君にはいつも助けられてばかりだ。」

エドワードは、「ありがとうございます。」と簡単に礼を済ませ、最後に私と辻谷君のほうに向く。

 

 大総統「さて、先のテロについてだが、君の言った通り、もうこの国にはいないようだ。軍総出で探索したものの、逃げられてしまったようだ。」

私は、やはりそうかと思い、考えにふける。一体連中は何しにこの世界までやってきたのか?疑問は深まるばかりだ。

 

 

 大総統「どうやら、君も残念そうだな、顔に出ているよ。」

 山本「えぇ。松永とゲマは私の国で総出で探しているので、見つけたら絶対に捕まえてやろうと決めていたのですが…」

そう答える私に辻谷君は

 辻谷「まぁ、仕方ないさ。でも、さっき『元就室長』が来てこれを置いて行ったぜ。」

何!毛利室長が来てたのか!なぜ気づかなかったのか。よけいに悔やまれる話が増えてしまった。

 辻谷「そんなにショックを受けなさんな。後でまた来るそうだから、おとなしく、待ってようぜ。」

そうだ、彼の言う通り、おとなしく待つとしよう。その言葉に少しばっかり救われたよ、辻谷君。神経質な僕にはきみの包容力が何よりだ。

 

 

そんな我々をよそに、よく話をつかめず困惑している二人の若者がいた。

 ウィンリィ「…ねぇねぇ、あの人結構お偉いさんなのかな?結構複雑な話しているみたいだけど。」

 エドワード「なんか、ニッポンとかいう国から来た人らしい。よ~く分からない部分がまだ結構あるけど、それなりにお 偉いさんみたいだ。」

彼女はとりあえず「ふ~ん」と答える、それでもおそらくよく呑み込めていないようであったが。

話は続く。大総統から何か重要な話があるらしい。

 大総統「そうそう、山本君。後で君に話があるのだが、良いかね?」

 山本「はい、一向に構いません。」

その返事に頷いた私に、大総統は良い笑顔で頷き、今後の日程を確認して病室から出ていこうとする前に、何か取りに戻ると言って

 走って出て行った。すぐに帰ってきた彼は『メロンは嫌いかね?』といってメロンを差出し、お忍びがばれるとかどうとか言って慌てて帰った。

 

 

 エドワード「…このメロン、どうすっかな。」

 ジュード「とりあえず、いただきましょうか…」

そうして、怪我をしていない人2名により切られたメロンをおいしく頂くことになった。そのついでに、ウィンリィちゃんについて詳しく話を聞くこととした。

 

 

 山本「そういえば、ウィンリィちゃんはオートメイル技師なんだね。」

 ウィンリィ「はい!私の生まれ故郷のリゼンブール村で私のおばあちゃんと一緒に技師をしています。」

その話に興味を持つのは医学生のジュードだ。彼も、この世界にしかないオートメイルに興味を持っているからである。彼もさりげなく話に加わる。

 ジュード「へぇ~、そうなんですか!僕はまだ研究医の段階だから、立派に仕事してるきみって凄いなって思うよ。」

 ウィンリィ「いえいえ!ジュード君も研究者として結構有名な方だって聞きましたよ。」

その言葉にジュードは、はにかみながら照れている。こうしてみると、彼も年相応の青年なんだな~とか考える25歳の初春だ。

 辻谷「へぇ~、今どきの若いもんっちゃすごかね~。な、エドワード君!」

 

 

 エドワードも同じように照れる。国家錬金術師になって三年目となった15歳、彼もいろいろあったらしいが、立派な仕事を持っている。

僕が『最初の仕事』を始めたのが22歳だから、十分立派だ。そのうちの一年で『80年分』の仕事をしたけどね…さっき説明したの法律のせいで…

 そういえば、メロンを食べながら思うことだがジュードとウィンリィは、割と仲好さそうに話している。多分、私がこの病室入る前にいくらか話をしたのだろう。今度は、ジュードとエドワードが話を続ける。

  エドワード「しかし、また一人すげぇ医者が来たもんだなぁ。手をかざしただけで傷がふさがるからすげぇもんだ。」

 ジュード「いや、君の錬金術も凄いよ。あれだけのことをやってのけるなんて。」

どうやら、同い年仲間で盛り上がっているようだ。若いというのは良いことだと改めて感じる。そんなことを思いながら、皆で話に花を咲かせて盛り上がった。

 

 

 エルリック兄弟の探し求めている『賢者の石』の話や、二人の過去、そしてこれからのことについて盛り上がった。

 ウィンリィ「おっと、もう時間ね。あ~あ、もうちょっとゆっくり話がしたかったけど帰らなきゃね。」

彼女は名残惜しそうに帰り支度をする。「もう行くのか?」とエドワードは言うものの、彼女は家を空けるわけにはいけないと断り、未だ傷跡残る

セントラル駅へと向かった。病院の玄関まで彼女を見送り、後ろ姿は次第に小さくなっていく。

 エドワード「…あいつも頑張ってんな。」

 エドワードも名残惜しそうである。久しぶりにあう彼女をみて少し気分が落ち着いたのだろう。

 アルフォンス「そうだね…もう少し、ゆっくり話したかったなぁ。」

弟君も悲しげだ。

 山本「三人とも仲良かったんだね、全くうらやましいよ…」

私も思わず感傷に浸る。何故だか、昔を思い出すと私もこうなってしまう性質『たち』だ。

 ?「いやぁ~、青春って言うのはいいねぇ~。私も、もう少し生まれる時代が遅かったら青春出来てたかもしれないなぁ。子供の頃は貧乏で、舐められっぱなしのだったから。

余計にそう感じるのかもね。」

 そんな私たちを後ろから見つめる齢80を超える一人の『若々しい』老人は、このような一言を発する。この声はもしやと思い、振り返ると、人のよさそうでぽやや~んとした 老人に見えない人物、日本時空省歴史担当『毛利元就』室長がそこに立っていた。

 

 

さて、こんな歴史上の人物がどうして未来で働いているのだろうとお思いになる方もいらっしゃるでしょう。それは、時空省にとある秘密があるからとしか今は言えないのでもうしばし待たれたし。その代り、彼の簡単な説明をすることとしよう。毛利元就は現在の中国地方一帯を治めていた戦国大名で、その神算鬼謀から『謀神』と言われた人物である。

一応、彼は西暦1572年に亡くなっているというのが表の歴史。しかし、実際はもっと長生きしているということが分かり、現在は時空省の『歴史室室長』という ポジションに落ち着いている。それくらい、歴史好きなのだ。

話を戻そう。室長は私とエドワードの肩を両手で『ぽん』と載せ、目ははるか過去を見つめている。昔を思い出したのだろう。先ほども彼に出会ったが、どこかで彼を警戒しているような素振りを見せる。私はきちんと室長に

 山本「これはこれは、毛利室長!ご無沙汰しております。」と返事を返したが、エドは別だ。

 

 元就「ん?どうしたのかな。もしかして、まだあれを引きずっているのかい?」

 エドワードは気まず~い感じで首を縦に振る。辻谷君とジュード、そして私もどういう事か瞬時に理解した。

辻谷「あの~、もしかしたら『アレ』を見せてしまったのですか?」

室長は少ししょんぼりしたようで、

 元就「トホホ、『見せてしまった』という言われ方をされたという事は、まだまだ私の歴史家という夢は遠いみたいだね…」

 と残念そうにつぶやいた。室長は、歴史に関しては未来の世界でも屈指の知識をお持ちなのだが、文才は…犠牲になったのだ…といわんばかりの

レベルであることは言っておこう。みんなの前でレクチャーするときは問題ないのに、どうしてこう文才だけアレなのか。

 心無しか、船形烏帽子{武士が正装で頭に着ける帽子。時代劇をよく見てみよう。}も落ち込んでいるようだ。

しかし、「おっと、こんなことを言っている場合ではなかった。」と自分で少し元気を取り戻す

 元就「どうやら、ブラッドレイ大総統がお待ちかねらしい。私も一緒に行くから、用意しておいて欲しい。それと、ついてくるのは君と辻谷君だけだ。

分かったね?」

 そう言うと、室長は病院までもどる。その室長を少し見たのち、エドワードが

 エドワード「そういや、大総統に会うって話ホントか?」

私は「そうだよ」と返事を返す。ジュードは先ほど大総統をみたからどのような人物かはわかる。しかし、彼はエドにこのような質問をする

 ジュード「ねえ、大総統って、一見するとすごく人のよさそうな人だよね。」

 エドワード「あ…まあそうだな。でも、『油断の隙もない』って感じだろ?」

その言葉に、彼は「やっぱり、そういう人なんだ…」とつぶやく。彼は続けて

ジュード「兎に角、何事もないことが一番だね…おふたがたも気を付けて。」

と、あたかも何か起きそうなことを口にしたのち、泊まっているホテルへ帰る。

 

エドとアルも病室へ戻ると、後は三人で大総統府へ向かう。

日もだいぶ傾き、間もなく夜になろうとする頃合いであるが、大総統府は夜も忙しそうだ。

辻谷「流石は国の中心にある施設だけはある。」

元就「確かに、これだけ大きいとは思っていなかったね。それに、中々歴史的建造物としても素晴らしいと思うよ!」

とはしゃいでいる二人である。これでは、只の一般人だ。

そんな二人をよそに、大総統室がどこにあるのか、案内図を見つめ、二人を引きつれ向かった。

 

山本「おっと、ここでいいのかな?…間違いない、ここだ。」

流石に緊張する二人に対し、精神的に余裕のある老人1名はその場所の前に到着する。

 

元就「どうやら、そのようだね。さて、ノックして入ろうかな…」

辻谷「いやっ、ちょっと待ってください。まだ心の準備が出来ていないのですが…」

そんな彼をよそに「失礼します。」と入るマイペースな室長である。

辻谷「ちょっと待ってんしゃーい!」と思わず方言が出る辻谷君。だが、もう後にはもどれない!

山本「まぁまぁ、俺も一緒にいるから落ち着こう。」と声をかける。

大総統が座るであろう机を前に、三人は横一列に並ぶ。大総統は、机の後にある窓から街を眺める。

 

 

 

大総統「む、どうやら来たようだね。ささ、椅子を用意したので座りたまえ。」

我々は、お言葉に甘えて椅子に座る。最初に口を開いたのは毛利室長だ。

元就「いや~この国を治める国家元首『キング・ブラッドレイ』にあえるなんて、光栄です。」

 目を輝かせながら室長が話し始める。どうやら、彼に会うことを非常に楽しみにしていたようだ。

山本「ははは…、こりゃスイッチが入ったみたいだね。」

辻谷「どうやら、そのようだな。」と横で話す二人をしり目に笑顔で握手する80歳と『ははは』と笑う60歳、実に楽しそうだ。

元就「わざわざ、私たちを呼んだのは『あのテロリスト』について話しておかなければならないことがあるという事かな?」

今度は、まじめなほうのスイッチが入ったようだ。大総統も、笑顔から引き締まった顔になる。

大総統「その通り。流石、察しがいい。…どうやら、あなたの横にいる『部下』二人もそのことについて聞きたがっているようだ。」

 

 

圧倒的な威圧感を漂わせながら話をする大総統『キング・ブラッドレイ』。ジュードが言った通り、これが数々の戦線を潜り抜けた男の出すものなのだろう。

そんな威圧感をものともせず話す戦国大名毛利元就』もやはり只者ではない。

元就「全く、大総統閣下がおっしゃる通り。まぁ、一つだけ間違いがあるとするなら、『二人の上司ではない』という所かな。」

 

 

大総統は「む…それはつまりどういうことかね?」と言葉を返す。ほんの僅かに驚いているような口調だ。室長は話を続ける。

元就「私は、非常勤である辻谷君の上司には当たるけど、組織のNO.2に当たる『山本 誠一』次官と比べたら遥かに下っ端だからね。」

その言葉を聞いた大総統は私に目を向ける。鋭い目つきでこちらを見つめた後、「これは失礼した。」と返した。

私は思わず室長に

山本「いえ、ここは別にそんな感じで話を進めてもよかったのですが…。」と室長に尋ねるものの、

元就「まぁ、ここは少し『虚をつく』ほうがいいかな~と思ってね。それに、虚偽申告はこの場合よくないよ。」

と答える。流石、こちらも幾多の戦場を潜り抜けた『謀神』。肝が据わっていらっしゃる。

 

 

そのまま大総統は、私のほうを向いたまま会話を始める。

大総統「それでは、ヤマモト君。君に話しては置かねばならないことがある。聞いてくれるかね?」

山本「はい、構いません。」と返事をすると、大総統はこう述べた。

大総統「マスコミには話していないことだが、君たちが出会った仮面の男に遭ったのだよ。」

辻谷君はその言葉を聞き、驚嘆を上げる。

辻谷「なんですと!それは本当なのですか。」

大総統は短く返事をしたのち、話を続ける。

大総統「あれは二日前の話だ…」

大総統は、手短に二日前の話を始める。

 

━二日前

君たちはまだ病院で寝込んでいる頃になるかね?その日の正午過ぎ、私は仕事を終えて食事を取ろうと食堂に向かおうとしていた。

大総統「さて、そろそろ時間だ。今日は妻と劇を見に行く約束だったな。早く仕事を終えて帰りたいものだな。」

そうして、ドアを開けようと席を立った時だ。

仮面「これはこれは、ご機嫌いかがかな『大総統 キングブラッドレイ』殿?」

後ろを振り返ると、そこにいたのは黒いマントのようなものを着ている仮面をつけた男が立っていたのだよ。

大総統「…貴様!どうやってここまできた!」

とっさに私は剣を抜いて切りかかったのだが、不思議なこともあるものよ。剣が奴の体をすり抜けてしまったのだ。

仮面「おっと、俺のことのついては話を聞いてはいなかったのかね?お前も、もういい年をしている。剣の腕も鈍っているだろう。無駄な争いはせず、黙って俺の話を聞くのだな。」

 

 

 

仮面の男は私を見つめながら話をつづけ始めたのだ。このような内容でな。

仮面「さて、俺がわざわざここまで来たのは他でもない。貴様と取引をしに来た。」

大総統「取引と?して、どのような内容かね?」

仮面「この国にある『賢者の石』のありかを我々に譲ってもらえないかね?」

大総統「何!賢者の石だと!」

賢者の石の話は何かは聞いたことはあるかね?一応説明しておくならば、錬金術の法則である等価交換を無視して錬成出来る赤い石だ。

最近、宗教の教祖がそれを利用して悪だくみをしていたことが明らかになったが、エルリック兄弟が事件を解決したおかげで何とかなったが。

 

話がそれてしまったようだ。さて、私は勿論断ったよ、すると奴は。

仮面「そうか、断るというわけか。」と唸るような声で私を威圧したのだ。聞き分けのない輩だと思った私は念を入れてもう一度言ったよ。

大総統「断る。そもそも、もうこの国にそのようなものを持つ者は存在しておらん。無意味だ!」

仮面「そうか…、それなら良い。俺はもう去ることとしよう。だが、『厄災』はこれから起こる。用心するのだな…」

そう言い残し、奴はどこかへ消え去ってしまったよ。こうして長年生きていると、不思議なこともあるものだな。

 

 

━大総統「簡単にだが、このような感じだった。さて、質問したいことがあれば質問したまえ。」

大総統の過去語りはこれでひとまずは終わる。改まる大総統だが、室長は何か気になったことがあるらしい。いや、強いていうなれば三人とも気になる事はあった。

元就「少し気になる事があるんだけど構わないかな?確か、最初に『奥さんと劇に行く』とか言っていたけど、それは嘘じゃないかな?

 

 

話は聞いているよ、その日の夜はテロのことをお忍びで調べていたらしいからね。」

続けざまに辻谷君が反応する。

辻谷「実は、私も気になったことがあります。あなたのような人が仮面の男に気が付くのが遅れるとは到底思えないのです。」

そして、最後に私がこう質問する。

山本「あなたの座っている仕事机の真下、カーペットに隠れてよくわかりませんが、よく見てみると床がへこんでいますよね?」

 

 

私は大総統に鋭く迫る。相手はこちらを見つめたまま動かない。私は話を続ける。

山本「そのへこみ方は実に一直線。実にきれいな切り口です。しかも、それは最近のものだ。すなわち、先ほどの話に合ったような

『腕が鈍っている』なんてことはありえないんですよ。大総統閣下、どうしてそのような嘘をおつきになったのですか?」

私は知っている。剣の達人しかできないであろう床にあるその切り口。それは、隠されている様子ではなく、わずかに見えるようになっている。間違いない。彼は、我々の洞察力を試していたのだろう。現に、大総統の右手には、電灯の光で銀に輝く一筋の剣が握られていた。

 

 

…いやっ、もう振り下ろされている段階に入っている。時間は一瞬だ。しかし、私も負けてはいない。こちらも、『白閃』を瞬時に呼び寄せ、

青白く光る刃で剣を受け止めた。こちらを見つめる大総統の目つきは百戦錬磨猛獣、私の目つきは鋭い鷹である。

 

引いている二人をしり目に我々は見つめあう。そして、いつ剣を抜いたのか分からない隻眼の男は次第に顔が和らいでいく。終いには大声で笑い始めた。

 

 

大総統「はははははは!いやぁすまんかった。君たちがどれほどの力量を持っているか少し試させてもらったよ。これなら、君たちに『本当の』事を話しても問題はなさそうだ。」

 

 

大総統は剣を鞘に納め、再び席に座る。一方、私は一瞬のことで少々困惑している状況である。もし、反射的に武器を取り出せ無かったら私は真っ二つだったろう等と考えながら気分を落ち着ける。横にいる二人はまだ驚いているようだ。

辻谷(なっ、太刀筋が見えなかっただと!これほどの剣、我が辻谷一族でもいないんじゃないか?)

元就(いやぁ、二人ともすごい反応だ!戦国の世でも、これほどの達人はいないだろうね。)

このような感想を二人は抱きつつ、本当の話になる。

 

 

大総統「私は部下とともに独自で調査してみたのだが、どうやら何かを探し求めていることが分かったのだ。そして、奴が私に会いに来たのはそのことについてなのだよ。」

山本「探し求めている、ですか。それは一体なんなのでしょうか?」

大総統は少し前のめりになり、三人に言い聞かせるようにこう答える。

大総統「『ライフ・ストリーム』聞いたことは無いかね?」

三人はその言葉に驚嘆の表情を隠せなかった。『ライフ・ストリーム』。それは、この宇宙に存在する神秘の一つである。

それは、『エネルギー』『物質』どれとも説明が着かないものである。我らが地球にはないが、『ライフ・ストリーム』を調査するために『ある星』に行ったことがある。忘れもしない、あの日だ。思わず、左手に力が入る。二人も肩に力が入ったようだ。

 

 

 

大総統は再び鋭い目つきに戻り話を戻す。

大総統「奴らは何か企んでいるようだ。しかも、賢者の石は次でよいような様子も見せておった。」

隻眼は天井をむき、あの日のことを見つめるかのごとく我々に語りかける。

大総統「奴らは、ライフ・ストリームを用いてこの世を支配すると言っておった。それはこの宇宙に存在する『星』の強大なエネルギーらしいではないかね。

 

 

とはいえ、奴自身は、興味もなくわけあって加わっているようだ。どうやら『尾獣狩り』の邪魔になる等とよく分からんことを言っておったが。」

 

 

ライフストリームの次は尾獣か。これは相当大きなことであるとは間違いない。辻谷君は、二つのワードに我慢できず、うなされた病人のごとく唸る。

辻谷「仮面の男はそのワードを口にしたのですね。あぁ、敵側に少なくとも、『暁』の連中はいるという事か。厄介なことになりそうだなぁ。」

大総統「ほう、奴らのことについて何か知っておるのかね?」

大総統は興味津々だ。私は大総統に簡単に説明をする。

『暁』それは我々とは時間軸上平行にあるものの、『忍術』が中心となり栄えている大陸があるパラレルワールドに存在する『S級犯罪者組織』我々も調査中だが、時空省要注意組織ファイルの『B級』に位置している。これは、時空に危険を及ぼす物をランク分けしたもので、危険度最低クラスがE、最高がSの6段階で評価したものだ。B級は、時空に悪影響を及ぼす可能性が高いと位置づけられている。

 

 

大総統に対しては流石に下半分は説明していないものの、危険であることは話した。

大総統「わかった。君たちの力量といい、信じるに値するとみてもいいだろう。我々も、引き続き調査に当たる。そうだ、良ければエルリック兄弟を連れていくとよい。

君たちの役に立つだろう。」

山本「いやっ、それはちょっと困るのですが…」

私は二人を未来へ連れて帰ることに少し戸惑いを見せる。しかし、次の言葉で私は断れなくなった。

大総統「君たちのことはあの仮面の男がばらしたよ。なに、安心したまえ。初めは奴の言葉に信じられなかったが、どうやら本当のことのようだ。我が国としても、是非協力させてくれぬかな?」

 

 

基本的に我々の正体がばれた場合、デメリットのほうが多く、相手の記憶を消したりすることが多いが、今回のように前向きに答えてくれるパターンは珍しい。こういう場合は素直に『協力する』ことも時には大事だったりするのだ。

 

 

こうして、久々に緊張する対談が終了した。世も老けてきたので病院へ帰るとジュード君が時空省あての手紙を預かっていたようで、内容を確認するとあさってリゼンブールで

予定通り帰る準備をしておきなさいとのことだった。スコールはバラムガーデンに戻らず、休暇を取るのでよかったらいいところを教えてくれないかと私に尋ねたのでついでに時空省に来るようにお願いした。

 

 

スコール「時空省か…。一回行ってみるのも面白いかもしれないな…」

と賛成の意思表示をもらった。ジュード君も医学の勉強でついてくるようだ。一方、孫一は三国と戦国の入り混じる混沌とした世界に帰ることにした。

 

 

 

時は過ぎ、セントラル駅までホークアイ中尉とアームストロング少佐が見送りに来てくれた。ささやかなものであったが、嬉しいものだった。今度会ったときは、彼らともゆっくり

語り合いたいものである。こうして、我々は分かれを告げるとリゼンブールへ戻って行くのであった。