第一章 さまよえる者たち2

 元就「いつも通り、きれいな光をともしているよ。一切問題なくね。我々の世界に被害をもたらすような異常事態は起こっていないみたいだ。そうそう、君も明日から休みなんだろう。問題なく、『21世紀』でバカンスを過ごせるんじゃないかな?ほら、『アロハシャツ』のお兄さんと約束しているんだろう?」

 そう、私は明日から長期休暇を取る。時は21世紀の西東京『学園都市』だ!

そこに行く前に、同じく21世紀にいる『ランサー』さんという外国の方と釣りをする約束をしている。

 おっと、私と室長が二人で話を続けている間に30分ほど時がたったようだ。とはいえ、まだ8時半。仕事場にいる人はそんなにいない。この『超現実派』といわれる美術家たちが建築した建物は静かにそびえたっている。一応、時空省の前にある公園には何人か人がいる。せっかくなので、私も公園を散歩するとしよう。しかしおかしなもので、公園はとても純和風といえる『日本庭園』なのに、向かいの建物はぶっ跳んでいるのは面白い。我々時空省の職員の憩いの場としても機能しているこの公園は、時空省が設置された同じ年に建てられたのだが、意外と好評だ。

 山本「さて、自販機でお茶でも買うかな…んっ?誰か向こうで口論をしているみたいだけど、ああ、あいつらか…」

口論しているのはどうやら人ではなく、ロボットで、しかも黄色と赤の猫型ロボットだな。赤いほうは『王ドラ』黄色いほうは『ドラ・ザ・キッド』という名前だったかな。22世紀から迷い込んで来たところを我々が保護をしたあと、しばらく元の世界に返せないので時空省で預かっているのだ。口論の内容はおそらく。

キッド「いやっ、やっぱ『どらやき』にはマスタードにケッチャプだろ!」

王ドラ「いいえ!!『しょうゆ』と『ラー油』こそが至高です!」

 やはりな…ちなみに私ははどっちもヤダ!つうか普通はどら焼きに何もかけません!!あんこがうまいからもういいじゃん、という話は向こうには通じない。

 山本「しかたないか…どれ、私が止めに行こ…」

行こうとしたのはいいが、中国出身の王ドラのヌンチャクと、キッドの『空気砲』が私に命中した。

2人「あ…」

 二人は私に気付いたようだが、もう遅い。

山本「おふたりさ~ん。何をやっているのかなあ~?」

キッド「いや、その、何ってそりゃあ…、ね?」

王ドラ「そっ、そうですよ特に大したことは…」

 私は冷や汗をかく二人に対し、私の武器『白閃』という名のついたライトセイバーをふるう。見えない閃光が、二人の間をかけていった。