第一章-2 さまよえる者たち6
ゾロ「あぁ、確かにそうだったな。はじめは三人とも信じられぇっつう面してたな。今も信じられねぇけど、少しは良くなったぜ。」
ゾロが話し終わると、もう片方にいる青年が口を開く。彼の名は【響良牙】。大きな【鉄傘】を背負い、黄色のバンダナを巻いているのが特徴だ。
良牙「そうだな。確かにはじめは俺も信じられなかったが、今は落ち着いてきたな。しっかし、何とも言えないとこだなここは。」
それもそうだろう。未来に飛ばされた如何にかかわらず、幾何学的な模様が一面を占めるこの部屋だ。そのような気分になるのは必然だろう。部屋の前で話を聞いている監視員二人も疑問に思っているようだ。
監視A「よう、確かにこの建物こんなマーブルチックな感じだけどよ。なんで宇和島さんのとこは特に奇抜なんだ?」
監視B「どうやらこういうエキセントリックなものが好きらしいぜ。あんな見た目して、結構ぶっ飛んだところあるからな、あの人。」
私もはじめこの部屋に来た時は驚いたものだ。いくらなんでもそこまでする必要があるのか?
なんだかんだで話は続く。
宇和島「まぁまぁ、そんなこと言わない言わない!結構気に入っているのよ、この部屋」
ゾロ「記号交じりに言われても馴れんものは慣れん!そもそも、なんでお前みたいなのがなんで【人事】のトップやってんだ?よほど人手不足なのか、ここは?
正直に思っていたことを口に出す彼に対し、彼女は反論を開始する。
宇和島「なによぉ、これでも私結構できるのよ!これでも昨年度から【時空乱流対策室】の室長とかねて人事のトップとして働いているんだから!」
彼女の言う通り、昨年から人事と対策室のトップとして働いている。一応年齢は私よりいっこ下だというのになかなかできる人だ。かくいう私も、この年で【次官】にまでなってはいるが。
三人と外にいる監視二人は、その話を聞き〔ホントにそうなのか?〕とつい思ってしまった。が、間違いなくそうであることは、彼女の部屋に映し出されてあるモニターや、首からかけてある名前付きIDカードをみれば一目瞭然だ。
エルザ「本当にそうなんだな。疑って申し訳ない。」
宇和島「いいえ、構いませんよ。私、こ~んな幼い見た目だからよくからかわれるんです。あーあ、妖精女王【ティターニア】と言われているあなたみたいにカッコいい感じだったら私もなめられないでいいのにな。」
少ししょげてしまった彼女に対してエルザは
「気にしなくて構わない。私も逆に、自分の年齢を20というと驚かれることが多い。少し、君の気持がわかるよ。」
確かに、エルザは20としては精神的に落ち着いている上、凛々しい見た目をしている。そう見られることもあるだろう。
宇和島「えっ、そうなんですか?へぇ~。私より大人に見える。」
良牙「本当だな。確かにそんな風には見えないな。」
ゾロ「へぇ~。俺とそんなに違わねぇのか。そりゃ驚きだ。」
エルザはまじまじと見られているのを気にせず、話をもとに戻そうとする。