第一章 さまよえる者たち11

何とも威勢のいい声だ。噂通り、破天荒な人なんだなぁということは理解できた。そして、もう一つ理解できたことは…

 山本「君が見たんだね、あの男を。」

ということだ。

 エルザ「そうだ、それにやつの隣にもう一人いたが、やつはいったい何者かが聞きたい。」

 山本「ああ、そのことはさっき君たちの話をこっそり聞いていた辻谷クンとその【連れ】から聞いたよ。」

エルザは私の言葉を聞いて「連れがいるのか?」と、首をかしげる

 実を言うと、この時空省内には私の指示で後三名話を聞いていたものがいたのだ。なぜこんなことをしたか?辻谷君が本当に仕事するか心配だったのだ。彼はポカミスが多いからだ。

まず、【坂田銀時】が「万屋に戻れんなら仕事くれ」ということを言っていたので、通信室の仕事をやった。これが一人目。

二人目は【元就室長】だ。偶然その部屋を通る予定があったので、私がこっそり聞いてきてほしいと頼んだ。

そして三人目は…。観測室の警備員のすぐ横にいた。

 その男…いやっ、すごい漢【おとこ】は自らの忍術で姿を隠し、ストーキングしていたのである。すごい漢

 紹介しよう。彼の名は不破 刃【ふは じん】!! すごい漢協会会長にして、不破流忍術開祖であり、師範であり、すごい漢である。

次回は辻谷君と彼ら【すごい漢協会】についての予定である。まぁ、あまり期待しないほうがいいかもしれない。

 師範「んむ。拙の仕事はこれで終わりか。ならば、辻谷殿と鹿児島へ帰るとしよう。」

そのまま不破師範は誰にも気づかれぬまま、私にしっかり情報を提供し、去って行った。

 

私が事の次第をエルザに伝えると、彼女はこう返す。

 エルザ「奇妙なことをするものだ。わざわざ諜報活動する必要があるのかね?」 

 山本「いや、そうじゃない。君たちが狙われているからということが正しいだろう。そのため、警護をシークレットでおかせてもらったのさ。それと、情報を各部署に冷静に伝えるためさ。それと一応、誰かが盗み聞ぎしているとも限らないからね。」

 エルザ「そうか… 私たちは何者かに狙われているということか。その話、仮面の男とつながりがあるのだろう。ならば、先ほどの話の続きをしよう。

 私はその言葉に二つ返事で承諾する。あの後、仮面の男がどのような話をしていたかわかる。そして、彼女らがこちらの世界に迷い込んだ理由がわかるかもしれない。