第一章 さまよえる者たち 20

 山本「勿論だ、必ず皆を戻せるよう努力しよう。…そうだそうだ、三人とも今日はどうするつもりかな?」

三人はしばらく元の世界に帰れないとなると、今日は別のところで休む必要がある。そのことについて私は質問をしたというわけだ。

 ゾロ「俺は【土方】とかいうやつのところの世話になるつもりだ。同じ迷い込んできたもの同士、楽しくやろうってわけだ。ほかの二人はどうするつもりだ?」

 良牙「俺はここの宿舎に泊まるつもりだ。外に出たらまた迷うからな。」

エルザ「私もここの宿舎でゆっくりさせてもらおう。せっかくだ、山本次官の仕事を手伝ってもいいかもしれないな。」

 山本「分かった、各自そうしてくれ。エルザ、よかったら今からこちらへ来てくれないか?仕事を手伝うなら私がこの時空省を紹介してあげよう。」

私の提案に彼女は二つ返事で承諾し、宇和島からの無線はここで途切れた。私も彼女が来るまでに、明日のスケジュール確認を始める。

一応休日返上ではあるものの、事件が起こらなければ予定通り休日だ。正確にいえば、半分休日半分仕事のような感じになるのだろう。しかし、連中は何を考えているのか?【ゲマ】【松永】そして【仮面の男】…。

難しいことを考えているとき、テレビのスポーツニュースで、私の嫁であり、プロ野球選手である【香織】の試合状況が映し出されている。先発投手である彼女は、今のところ4回を投げ無失点だ。

 ニュースキャスター「さぁ、ここまで無失点の山本香織!今日も屈強な男相手に得意の変化球が冴えわたる!今日こそ完封できるか!」

まったく、わが妻ながらすごいもんだ。私も昔、メジャーリーグで活躍していたなぁ、等と懐かしんでいると、もう夕方4時近くなっている。もうそろそろ、仕事も終えなくてはならないだろう。一旦、外の日本庭園で深呼吸してから仕事に戻ろうと思いついた私は、仕事部屋を出ようとする。

だがしかし、私の体は急に動かなくなる。突然部屋の周囲が暗黒に包まれ始めた。

 山本「こ…これは一体どうしたというのだ!」

すると、急に【ビジョン】と呼ばれる映像機器が作動をはじめ、そこから何者かの声が聞こえ始めた。