第一章 さまよえる者たち エピローグ

 ?「行ったか…あのままだと、どこへ行くかまったくわからんな。デミーラ。」

消え行く空間の裂け目を見つめながら、うちはマダラはデミーラに話しかける。

 デミーラ「そうね、どこに飛ばされるかは運しだいだから、あとは彼女の運しだいってとこかしら。」

 マダラ「そういうことになる。だが、別に今はそのようなことなどまったく問題はない。そう、今はこれでよいのだ。」

 ペイン「そう、今のところはこれで構わん。」

三人は仕方なくこの場を去ることとした。とはいうものの、このまま去るには少々早すぎだ。その上、エルザを写輪眼で幻術にかけることにも失敗したのは痛い話だ。だが、それでもマダラは余裕だ。あたかも、はじめからこうする予定だったのではないかといわんばかりの態度をとっている。

 デミーラ「あら?お二人さんは最初からこうなることは予測済みだったというわけ?」

 マダラ「あくまでも、折り込み済みというだけだ。一応、問題はない。ほう…どうやら、立体無線に連絡が入ったようだ。」

 ペイン「そうか。俺が見よう。…イタチからだ。メール形式で届いている。…遂に、第一陣が【三拠点】へ進撃の準備を開始したようだ。」

マダラとデミーラはその知らせを聞いてほくそ笑む。ついに、作戦を実行するときが来たのだ!

 マダラ「遂に始まるか。【あの女】が我々の世界に来てから幾分か時がたったが、実行まであとわずか。」

 デミーラ「そうね…。そうそう、まず初めに【鬼神】さんはどの世界を攻めるつもりなのかしら?」

ペインはメールを見つめ、その部分に該当するところを読み上げる。

 ペイン「そのことについては記載されてある。その場所は…」

 

 …それから数日のち、アメリカに存在する【死武専】という学校がある【デス・シティ】。19世紀のイギリスに存在する【黒の教団】。そして…

 ?「あぁ~、今日も仕事うまくいかなかったなぁ~。疲れが溜まるばっかりだよ~」

そうぼやいているのは、【尸魂界】『ソウル・ソサイエティ』で働く【山田 花太郎】だ。護廷十三隊というところで働いている。

どうやら、気の弱いかれは今日も仕事がうまくいかなかったようで、落ち込んでいるようだ。

 花太郎「でも、そんなことを言っても仕方ないか…もうこんな時間だし、そろそろ帰ろ…。」  

帰り支度をしようとしたとき、外で轟音が響き渡る。激しい砂煙があたり一面に広がり、粉じんが仕事部屋に入り込む。

 花太郎「うわぁ~!いったい何だ?」

埃がまう仕事部屋の壁、いや、壁だったところを見ると、そこには【それ】はもう存在していなかった。なぜだかよくわからないが吹き飛んでしまったらしい。これが轟音の原因のようだ。

 花太郎は、壊れた壁から、恐る恐る外を見つめると、そこに誰かいるようであることは理解できた。それも複数人、いや、大人数いる。

 

 ?「ここが目的の場所か。【陳宮】!作戦は済ませたか?」

 ?「はい、この私、私↑に抜かりはございません!準備は整いました。」

花太郎は、低い声のする男と、狂言回しをする男の声をきいた。作戦ということは、侵略者というわけなのか?そう思ったが、ここへ別世界からくることができるのは彼ら【死神】というものだけだ。では、いったい彼らは何者なのか。

 ?「そうだな、陳宮よ。まずは…そこにいる奴から、この俺の、最強の武を見せてやる!!!

 いったい何が起こったのか、彼にはまったく理解できなかった。しかし、自分の体は大きく後ろへ吹き飛び、一瞬気絶していただけのようだ。

 花太郎「うっ…いったい何が起こったんだ?」

かすむ視線の先にあったのは、月明かりに照らされる【赤い大きな馬】と、それにまたがる【方天画戟を持ち、黒づくめの鎧を身にまとった男】だった。

 花太郎【いっ…一体何者なんだ、あいつは。うっ…動かない。怖くて一切体が動かない】

花太郎は、恐怖を感じていた。自分がしにかもしれないという恐怖に…。恐怖におびえた表情をしている彼は、その男にこう問いかけた。

 花太郎「お…お前はいったい何者なんだ…」

男は得物を月に掲げ、意気揚々に名乗りを上げる。

 ?「俺か…俺は呂布…字は奉先だ!!!」

 

 遂に、やつらの侵攻の時が来たのを我々はまだ知らない…