二章 導入 Drăculea Vlad Ţepeş【ドラキュラ・ヴラド・ツェペシュ】9

 遠呂智「どうした、妲己よ…」

遠呂智の声は、実に低く響き渡る。また、その姿はまさに【魔王】と呼ばれるにふさわしい雰囲気を持つ。遠呂智軍軍師である彼女は、その圧倒的スケールに魅入られた一人である。

 妲己「それがねぇ遠呂智、ついに始まったのよ!【あの作戦が!】あぁ~これからが楽しみ!もちろん、私も、遠呂智様も、【敵を抹殺】しないとね!」

彼女は、まるで恋人に話しかけるように、甘い声を上げ、実に楽しげに、そして、彼のためなら【どんなことをしようが構わないと】言わんばかりという雰囲気で話しかける。まさに、狂気、そして、残虐性をのぞかせる。いつも以上にはしゃぎたてる妲己。そして、遠呂智自身も内なる興奮を心に抑えつつ、【強者】との対決に渇望していた。

 妲己「さぁ~て、そろそろ私たちも行かなくちゃ!それじゃ、お先に失礼しま~す!」

その言葉と共に無線が切れ、どこぞとしれぬ墓場には静寂が戻る。彼もまた、ドラキュラと妲己の後を追って、戦いの場所に向かい始める。しかし、なぜだろう。先ほどから彼は【悲しげな顔】をしている。強者との戦いに渇望し、楽しみにしているにも関わらずだ。  

遠呂智「…さて、我を終わらせる者がいるか…、それとも…」

 彼は、自分を終わらせるものが現れるか、そうかを考える。そうして、彼も闇の中へ消えていくのであった。

一方、ドラキュラ伯爵は、おのれの居城、【悪魔城】へと戻る。いつも大切にしている玉座に腰を下ろし、読書をたしなむ。

 ドラキュラ「ふっ、いつ見ても腹がつほどなかなかうまくできておる…。やはり、人間どもからすれば私は悪であろうな…。

彼が読んでいる本は、彼が悪役の本、そう、【悪魔城ドラキュラ 血の輪廻】だ。

 ドラキュラ「しかし、私の魂の一部をこの本に移し、それを利用して私を復活させたあの【娘】…、名を【ジェノバ】とかいったか…。酔狂な科学者がいたものだな…。