二章 導入 Drăculea Vlad Ţepeş【ドラキュラ・ヴラド・ツェペシュ】10

 そうつぶやいた後、彼は本を閉じ、久しぶりに復活した【我が家】の散策をするため、部屋の出口へと向かう。すると、部屋の奥のほうから、メイドの【プロセルピナ】が、お気に入りの掃除機を持って部屋に入る。

 プロセルピナ「あ、伯爵様。ご無沙汰しております。久しぶりにお城が復活しましたのでお掃除にきまし…」

ドラキュラ伯爵は、そんな彼女を完全に無視して、まっすぐ出口へ向かおうとする。そんな彼にいして、彼女はショックを受け、涙ぐみながら伯爵へ文句を言う。

 プロセルビナ「ちょ!伯爵様!無視なんてそりゃないですよ!!折角お城を【オール電化】に変えようとか、お掃除を慎重するために予算を下ろしてほしいって頼もうかとか考えていたのにぃ!!」

 必死にアピールするそんな彼女を伯爵はそのまま気にも留めず、そのまま扉の向こう側へと消えていく。

 プロセルビナ「もう…伯爵様ッたら… ん?何か扉に挟まってますね…どれどれ?」

彼女は、扉に挟まった紙を見つける。そこには、何かメモのようなものが書かれている。

 プロセルビナ「ふむふむ…、しばらく城を徘徊し、戦力になりそうなものを見つけたらすぐに発つ…、城のことは、【シャフト】と【デス様】と、お前で何とかしろか…。これは、嵐の予感ね…。さっそく、デス様に報告しないと…」

 「安心せい、そのうちの一人ならここにおる。」

彼女は、後ろから声がするので振り返ると、そこには、巨大な大鎌をもち、ローブを着た白骨が宙を浮いている。彼こそ、ドラキュラ伯爵の忠実な腹心 【DETH】、死神である。

 プロセルビナ「うわ!!いらっしゃったんですか!いるならいるって早くいってくださいよ!!」

そう驚いている彼女に、【ふむふむ、なかなか、元気そうで何よりだ】と心の中で彼はそう考える。1000年にわたる長き間、ドラキュラの浮く死んでいる彼にとって、彼女はひ孫みたいなものだ。一応、彼なりのかわいがり方だが、予想以上に怖がらせてしまったようである。