二章 導入 Drăculea Vlad Ţepeş【ドラキュラ・ヴラド・ツェペシュ】13

 二人が見ているヴィジョンの間から、黒マントの姿をした男がこちらに歩み寄ってくる。そう、この光景を見せているうちはマダラだ。ただ、先ほどとは明らかに違うことが一つある。それは、仮面を外しているという点だ。声から彼であるということは分かるのだが、明らかに声が若返っているうえ、外見も若々しいものとなっている。

 DETH「おやおや、マダラ殿。突然若返りなさるとは、いかがなされた。」

マダラのほうを振り向く死神は、少し冗談交じりに話す。彼はもう、なぜ彼が若返ったのか。―いや、正確には、若返ったように見えるのが分かったからだ。

 

 プロセルビナ「あら、あなたマダラさん?なんかものすっごくイケメンな人なんですけど!」

 DETH「…いや、これも幻術に決まっておろう。しっかりせんか、嬢ちゃん」

そう、DETHの言う通り、彼の姿は幻術である。自身の能力を応用し、若く見せているのだ。

 プロセルビナ「…あら?そうだったんですね…。ああ、なんで気づかなかったの私…」

そんな落ち込む彼女を尻目に、年長者二人は会話を始める。その話し声は、非常に重苦しい雰囲気を漂わせるものとなる。

 マダラ「やれやれ、いいのかあの調子で。」

 DETH「いや、構いません。それより、なぜそのように若返りなされたのか?」

 マダラ「折角だ、俺の能力を最後に見せておきたかっただけだ。そのうえ…」

 DETH「もうこの場所にはいらっしゃらないのでしょう。あなた様本人は?」

マダラはにやりとした表情を見せる。それに、なぜか満足げでもあるようだ。これぐらい分からなければ、これから戦うものとしてやっていけないといわんばかりの表情を彼はしている。

 マダラ「安心した。これで、俺本人も【計画】を進められるというもの。」

マダラの姿は次第に霞んでいき、この場から消え始める。どうやら、プロセルビナも術が解け始めてきたようだ。最後に、

幻術のマダラは一言残して悪魔城を去っていく。

 マダラ「今まで見せたデータを忘れずにしておけ。まぁ、いつでも見たい時に見られるよう調整はしたがな…。しばらくお前たちの出番はなかろうが、頼んだぞ。」

 しばらくすると、今まで見せた光景はすべて消え去り、元いた伯爵の間に戻っていた。