第二章 前日 1

 私、山本誠一が働く時空省で、自分のデスクが爆発してからかれこれ1時間は経った。このことは、すぐさま大々的にニ

ュースとして取り上げられることとなる。時空省の玄関窓口では、多くの報道陣が詰めかけ、大騒ぎとなっている一方で、私は上司である【厳島長官】に呼び出され、ことの経緯を説明している最中である。場所は時空省最上階にある【長官室】だ。室内の全体的な雰囲気は360度見渡せるプラネタリムと言えばわかりやすかろうか。私はこの部屋に来ると、、あたかも宇宙空間のなかで一人立っているような不思議な感覚によくなる。

だが、暗いはずの室内は、なぜかデスク周り等、一部はっきり見える。そのため、上の気分に追加して、不思議な感覚というものにも襲われる。本当にこんな部屋に長い間よく長官はいられるものだと感じながら、私はことの経緯をすべて説明し終える。

 長官「ふむ、君は再び奴の姿を見たということかね?」

私は長官のほうを一切目をそらさずに見つめたまま「はい、間違いありません」と返答する。長官はただ一言、ふむ、と返事をし、大柄な体に見合った低く、且つ落ち着いた声でゆっくり話す。

 長官「むぅ、奴はやはり死んでおらなんだか。かつて、とある戦士たちが二度にわたりやつと対戦したというが、それでも完全に打ち倒せなかったというだけはある。時空省としても、君をあの男に合わせるようなこととなってしまったことを今でも申し訳ないと思っている。」 

  

 私はその言葉を聞いて【あの事件】をふと思い出してしまう。読者の皆に今ここでは話すことはないが、そのうち語ることとなろう。今は、このまま話を進めることとする。