時空省外伝! 辻谷広行の休暇27

 陸奥【あぁ、こりゃ司馬仲さんが言っていた通りのめんどくさそ~な人たちだな。】

この陸奥という男、21世紀ではよく知られている有名な格闘家である。年齢は20代弱で、どこか幼げな顔だちをしているものの、その正体は【1000年不敗】を誇る【陸奥圓明流】の正統後継者である。先祖は【宮本武蔵】に勝利したこともあるという。そんな彼だが、なぜか一か月ほど前、この世界に迷い込んでしまったのだ。現在は、時空省で働いている司馬仲達のもとで世話になっている。そして今日は、彼の指示でここ桜島に来ている。

今からだいたい一時間ぐらい前だろうか。未来では珍しいスマートフォン型の電話を持っている彼は、司馬懿から連絡を受けていた。

 司馬懿【いいか、よく聞け。お前もこの時代に来てから間もないだろうが、これからこの5人と共に行動してもらうこととなる。しかし、一部を除いてかなりの曲者だ。気を付けるがいい。さて、私は三人組が次の日に時空省へ戻る。息子たちと旅行の予定があるのでその手続きをせねばならん。まぁ、お前が時空省につくまでの辛抱だ。それまではお前に任せる。では】

 

陸奥は正直、そんなことを言われてもどうすればいいのかさっぱりわからないというのが本音である。いえることは、なぜこんな時代に迷い込んでしまったのかということだ。世界中で修業しながら旅をしていたら、今度は未来まで来てしまうことになるとはまったく想像できないことだったからだ。なんだか奇妙な建物に連れてこられるは、童顔の女性に不気味な部屋で話を聞かされるはで大変だった彼は、偶然ある人物に出会うことができたことは幸いであった。その人物こそ司馬懿である。

陸奥は、彼とその奥さんに痛くかわいがってもらって、現在は司馬懿のもとで色々な手伝いをしている。今回は、彼らと新しい現場でサポートすることだ。そんなことを思い出す彼は、彼の言う通り、本当にこの人たちが只面倒くさいだけなのかと考え、その雰囲気を感じ取る。彼の出した結論はこうだ。確かに彼らはめんどくさい。しかし、それ以上に感じたことが一つある。それは、【強い】ということだ。そう感じ取った彼は、五人に対し

 陸奥「まぁ、確かにしっかり鍛えなくてはこの先やってはいけないだろうな。これからは、大変なことが待ち受けているでしょうから。」と言葉を返した。

いつの間にか、彼は、面倒くさいという気持ちから、少し気合の入った顔をする。折角お世話になった二人のため、というよりは、たくさん食べた分のお礼をするため、ここに来た。そして、彼らと一緒なら退屈しなさそうだということだ。

 五人も、そんな彼の雰囲気を感じ取り、頼もしい仲間が増えたと意気込み、船へと乗る準備を始める。そんなことをしていると、辻谷と陸奥のヴィジョン電話から音がなる。どうやら司馬懿からのようだ。