第二章 前日7

 ここで再び我々の目線に戻る。何故だかわからないが、気づいてみると我々がいるこの道路には人の気配がまったくない。これは一体どういうことなのか、はじめはサッパリわからなかった。が、どうやらこの近辺のみ人気がないだけで、200メートルほど離れた夜の街では、当たり前のように人々が行きかっている。

 エド「どういうことだ?この付近だけ一切人がいねぇぞ!」

 アル「ほんとだ、あたりに人がまったくいないね。これはどういうことなんだろう?」

二人の疑問に対し、50メートル離れたところで敵と応戦している元就が私に対し、

 元就「確かにおかしい。次官!どうしてこのような状況になっているのか調べてみてくれ。もちろん、急ぎでだ!」

そういわれた私は、周囲に何かしらの術式が施されているのではないかと思い、神経を研ぎ澄ませる。するとどうであろうか、周囲半径150メートルほどの特殊な結界が張られているではないか。

この結界の特徴は、結界の外と中の二つある。一つは、結界の外にいる人は、結界の中に入ろうとすることを無意識に避ける効果がある。もう一つは、中にいる者の気配や姿、音は外に決して外部からは一切わからなくなるということだ。つまり、我々がいるこの場所は、完全に【陸の孤島】と化しているということである。そのことに気づいた私は、皆にこのことを大声で説明する。

 山本「みんな聞いてくれ!この結界の中のことは外の人には一切わからない!気を付けろ、やつらの中で俺たちを暗殺しようとしているんだ!」

そのことを聞いた皆は驚きを隠せないでいた。

 ハヤテ「えぇ!!ほんとですか!あぁ、なんでこんな目に合うかな僕。」

 エルザ「そう下を向くな少年!まだ我々がやられるとはまだ決まってはなかろう!」

目線を思わず下げてしまう若き青年に対し、成人であるエルザ【彼女は20歳である】が励ましの言葉を送る。

 ハヤテ「そうでした! 僕には元の時代に戻らなければいけないという使命がある!…とにかく、この辺に自転車は落ちていないでしょうか…」

何故彼が自転車を探しているのか。それは、一見ただの優男だが、ものすごい身体スペックをもつ彼しかできないことがあるからである。