第二章 前日16
そうして戦っている皆に対し、私も良牙、王ドラと共にユダとノイトラの相手を始める。
ノイトラ「ヒャッハー!そんなんじゃ、俺は倒せねぇぞ兄ちゃん!」
私の二刀を受けても、ノイトラはただ軽く受け流すのみだ。その上、ほかの二人も防戦一方である。
ユダ「どうした、そのような拳法ではこの美しき俺に傷一つつけられん!」
こうして、中々戦いに進展が見られぬまま、長い時間が過ぎていく。
山本【くっ、このままでは戦いが終わらない!あまり術には頼りたくなかったが、ここは頼るしかない!】
私は、相手の隙をつくことにした。敵の動きをよく見ると、武器が大きいせいか、かなりの大振りである。
ノイトラ「くらいやがれぇ!これでてめぇの脳天かち割ってやらぁ!!」
私は相手が斬りかかる寸前、敵のわきがわずかに開いているのを確認し、左手に持つライトサーベルで大鎌を逸らす
ノイトラ「何!」
体制を崩され、隙ができたノイトラに対し、あとは私が覚えている火炎の混合呪文をぶち当てるのみだ
山本「これで終わりにする!いつまでもお前たちに付き合ってる暇はない!食らえ【メラアギダイン】」
この技は、私が開発した技の一つ。元々は、別世界の魔法技【メラ】と 【アギダイン】という技を足し合わせたものだ。
山本「いかに人でない存在!【十刃】『エスパーダ』である貴様でも、これでは無事では済まん筈だ!!」
今の技で、私は確実に敵を仕留めたとそう確信した。あたり一面は、私の術の勢いで砂埃が舞っていた。
私のすぐ横で戦っていた王ドラたちは、爆発音に思わずこちらに目をやる。
王ドラ「い、今の一体…」
ユダ「く、この砂埃では私の美しい顔が…。えぇい!いったい何が起こったのだ?」
良牙「どうやら、次官さんが何か派手にやったらしいな。敵もさすがに今ので吹き飛んじまったな…」
皆、今の状況を見て間違い無く敵を撃破した。…そう信じたいものだったが現実はそう甘いものではなかったようである。
ノイトラ「…あーあ、なんかすげぇ音がした割には大したこたぁなかったな。」
ノイトラは何も感じなかったような、ケロッとした顔で、埃舞い散る暗闇から再び姿を現した。
私は只々、人ならざる者【虚】ホロウのすごさに驚くのみだった。
ここで解説すると、彼は別次元【ウェコムンド】という世界から来た男である。彼の所属する集団【十刃】『エスパーダ』
は、強力な力を得るために暗躍しているとの話を聞いていたため、一応は私も知っている存在ではあった。
山本「さすが、噂通りの強さだな。あの術を食らってまだ平然としているとは恐ろしいものだな。」
私のその言葉に大声で笑うノイトラ。かれにとって、強さをたたえられることは至高の喜びだ。
ノイトラ「ヒャーハッハッハッ!そうさ、俺はお前ら人間と比べてはるかに強えぇ!そんなんじゃ、俺には勝てねぇぜ!」
そういいながら再び始まるノイトラの襲撃。その様子を見て、ユダも再び戦闘に入る。
ユダ「どうやら、お前たちもここまでのようだな。さて、私もお前たちに引導を渡してやろう!!」