第二章 前日17

ユダは、王ドラと良牙に指を立てる。すると、何故だかは分からないが、二人の脇腹に一瞬で傷がついたのだ。

 良牙「何っ!いっ、いつの間に傷がついたんだ!?」

あまりの出来事に二人は茫然と立ち尽くす。二人は今までコンビネーションを駆使してユダを翻弄していたはずであった。しかし、この一瞬の出来事で、彼の恐ろしさを思い知ったのだ。

 

 ユダ「愚か者めが!!隙を見せたお前たちが悪いのだ!南斗聖拳の真の恐ろしさ、とくと味わうがよい!」

我々三人には、大きな危機を感じ始めた。このままでは、全員危険にさらすこととなってしまう。

 私は、そもそもどうしてこのような事態になったのかを考え始めていた。何故長官が私の車に応援をよこしたのか。もしかすると、長官はこのことを予期していたのではないか?それ以前に何故予期できたのか?今はただ、目の前の敵を撃破することのみを考えていた。

 その様子を高みの見物している仮面の男は、戦況に満足そうな表情をしていた。もちろん、彼は仮面を付けているため、はた目からは表情自体はまったく分からない。しかし、その仮面の下は、満足した表情を浮かべている。そう、違いないはずである。

 マダラ「さて、お遊びはここまでだ。これより【リユニオン計画】を開始する!! 時空を超えた戦いが今から始まるのだ!これにより、俺自身の計画もまた一歩前進する!…間違い無いな【ゼーナ】博士。いや、ここはお前の真名で呼ぶほうがいいかな?」

彼の横に座ったままの彼女は、手の平を向けながら目をつぶり、「今はよしたほうがいいわね」と答える。

 ゼーナ「まだその時ではなくてよ。それよりも、今日は待ちに待った実験をするわけなのだから、楽しみましょう。」

ゼーナは立ち上がり、そのまま眼下の光景が見えるところまで歩く。そうすると、彼女は両手を掲げ始める。こうして、彼女の実験は始まった。

 この実験は、彼女が作り出した結界の中で、一部の人を除き、誰にも気づかれずに起こり始めた。この実験に気づき始めたのは私である。何やら足元から非常に重く、深淵からせまりくるような重いものが上がり始めているのが感じられた。これはいったい何なのか?この時点では皆目見当もつかなかった。