幕間之1 全時空省会議1

2章から約半月前の話━

 国連では、4年に一回ではあるが、【時空石】と呼ばれる不思議な石の力によって、26世紀によみがえった過去の偉人たち【300】人による定例会議が行われる。その名も、【全世界時空省会議】という。

 この会議では、この300人以外にも世界中の時空省関係者や、政府要人が参加する大きなイベントだ。今回でちょうど100回目を迎えるこの催しは、オリンピックに並ぶほどの大きな盛り上がりを毎回見せ、今回も大盛況となっている。本会議を前日に控え、今日は祝賀パーティーが開かれており、時代を超えてさまざまな人が集まっている。そんな中、そのパーティーに少しばかり遅れてしまった【マキャベリ】は、同じく遅れてきた【アレクサンドロス大王】、『又は【イスカンダル】ともいう』と何か会話をしているようだ

 イスカンダル「いやいや!ここにいる数多の英雄たちと会うことが楽しゅうてたまらん!そうは思わんか、マキャベリよ!」

大柄で豪放磊落なイスカンダルは、小柄なマキャベリに大きな声で溌剌と話す。それに対して、文官よりのマキャベリは大人しそうに話す。とは言っても、決して弱弱しいというわけではなく、しっかりとした話方をしている。

マキャベリ「そうですね。こうして彼ら全員と会うのは4年に一度だけですもんね。古くはヘラクレスから、新しきはマザー・テレサまで本当にいろんな方がいらっしゃいます。…残念ながら、チェーザレ殿はいらっしゃいませんが。」

 イスカンダル「そうか、そなたの知り合いはおらぬのか…。その代り、メディチ殿はいらっしゃるようだ。なんだか成金というのもいまいちだの~。」

 二人はそんなことを言いながら楽しげに話している。時空石のおかげで、不思議なことに言葉が翻訳されて聞こえるので、時代や国をたがえども楽しく話すことができる。

 生まれた時代が1000年以上離れた、不思議な友好関係をもつ二人がワイングラス片手に別方面を見ると、フードをかぶり、錫杖のようなものを持った、不思議な人が目に入った。その人物を見ると、圧倒的な力をなぜか感じてしまう。

 イスカンダル「余はあちらのほうが興味がわく。あれが、時空省が選ぶ【300人目】とかいうやつか。」

300人目、通称【スリーハウンドレッドオーダー】。時空石は、通常300人の偉人を過去から召喚するが、最後に召喚される一人は、特別である。何故特別化というと、300人目は過去の人物ではあるが、我々のいる次元から見て【異世界の過去の偉人】を呼び出すのだ。この異世界の偉人は、おそらく26世紀でも行くことができない次元からやってくることもあり、時空省の発展に寄与してきた側面もある。また、彼らは素顔を隠すようにしており【過去約一名を除いてだが】、誰が選ばれたのかは100年経たないと一般人には知らされないようになっている。

今回の300人目は、人望、能力ともに過去類を見ないとも言われており、過去最高の賢人ともいわれている。彼は、素顔を見せはしないものの、話しかけてくれるほうではあるそうで、老若男女関係なくコミュニケーションをとっているそうだ。