幕間之1 全時空省会議 2

 マキャベリ「あの方は並々ならない人物であると話を聞いております。おそらくは、並大抵の方ではないのでしょう。それでも、私は豪放磊落なあなたのほうが好きなのですけどね。」

  そうにこやかに返すマキャベリに対し、イスカンダルはさぞ満足げな顔をして彼の肩を組みながら大声でうれしそうなセリフをこぼす。

 イスカンダル「喜ばしいことを言ってくれるではないか同胞よ余は実にうれしく思うぞ、ガハハハハハ!儂もそなたをわが軍勢に加えたいものよ!まだまだ宴会は続くぞ、じゃんじゃん頂こう!」

すっかり気を良くした二人は、そのまま仲良く宴会を楽しんでいった。そんな様子を見ていた【山本誠一】はそんな二人を見て思わずにこやかになっていたようだ。

今回、彼は高い身体能力を買われ、時空省の上級役職についている身としては珍しい警護の仕事にあたっていた。しかも、時空省職員としてはトップクラスの権限を与えられていたようだ。先に言っておくことにするが、今回の会議では特に大きな事件は起きることは無くてすむこととなる。しかしながら彼は、世界中から来た政府要人を守るということに対して大きな使命を感じていた。

 山本【これほどの要人がいる中でテロなど起こったらいったいどうなることか。今回、そんな犯行声明が出ているわけではないが、ように越したことは無い。しかし、今回のスリーハウンドレッドオーダー【以下SHOと略】は一体どのようなことを話されるのか、

非常に強い興味を持っていた。 

 とは言え、まだまだ会議までは時間がある。時間が来れば、彼は、会議のある議場を警備することとなるが、後数分でいったん休憩に入る。それまでは、この会議場で優雅なひと時を楽しめるというわけだ。そんなことを考えていると、SHOであるフードをかぶったその人がこちらに来るではないか。山本は、少しばかり緊張しながらSHOに頭を下げる。そんな彼に対し、SHOは、ねぎらいの言葉をかけてきた。

 SHO「…ふむ。君の噂はかねがね聞いてはいる。その若さでその地位にあるのは世界中の時空省でも類を見ないとの評判であるそうだな。」

 何気ないことを彼は言っただけかもしれないが、なぜだかは分からないものの、深い言葉のように彼は感じた。これがSHOというものなのかと感銘を彼は受ける。

 山本「いえいえ、滅相もございません。あなた様こそ、大変高名な人物であるとお聞きしております。そのような方にお会いになれるだけでも光栄でございます。」

 そう言いながら、山本は深く頭を下げていた。不思議なことに、彼は気づいたときには自然と頭を下げていたのだ。だが、そんな彼に対し、SHOはこんなことを言うのである。

 

 SHO「いやいや、儂はそんな男ではない。ただ、子孫たちが手を取り合い、協力し合うことでより良き世界になればよいと人々に触れ回ったというだけ。それがこんな形として再び生き返るとは、不思議なものよ。ここにいる者たちも、きっとそうであろう。」

 山本も詳しくは知らないが、その言葉を聞いて少し思い出す。彼は元いた世界で【仙人】と呼ばれ、世界中に自分の考えを説いて回ったという話だ。現在の【SHO】がいったいどんな人物か、それは緊急時を除いて、ごく一部の人しか正体を知ることができないのは残念なことである。