幕間之1 全時空省会議 4

 山本「いやぁしかし本当に多くの人が集まっていますね。このまま、会議も無事に終わってくれればいいのですが…。」

 元就「安心して大丈夫だと思うよ。ここ数十年、テロらしきテロってのは起こってないからね。それよりも、時空の異変が起こることのほうが、この時代にとっては大変なことじゃないかい。」

 山本「確かに、その通りですね。現に、室長ははもう体験していらっしゃいますけど。」

  

山本は、そうだねと答える元就の表情をを見て、少し安堵の表情を浮かべる。しかし、時空省次官としては素直に喜べないところはある。何故彼らはあの世界に呼ばれたのだろうか。そして、どんな苦労をしてきたのだろうか。おそらく、想像以上のことには間違い無いはずだ。そんな山本に、元就はある話を始める。それは、今度の仕事の内容だ。

 元就「そうそう、君に話したいことがあるんだ。今度、君は【錬金術】が発達している世界で【エルリック兄弟】に会いに行くついでに何か事件を解決するつもりらしいね。」

 山本「はい。どうやら、何者かがあの世界でテロを起こそうとしていると【時空石】が反応しているのです。どうやら、【時空間犯罪者】である公算が高いようで、私が行くことになりました。」

 元就「そうかい。そのことに関してなんだけど、この資料を見てくれないかい?もしかすると、今度の事件と何らかの関連があるかもしれない。そう思ってね。」

 元就は、資料となるデータを【無線】と呼ばれる機械から私のそれに転送する。そこに映し出されたのは、ある人物の姿だ。

 山本「…このふたり…見たことあります。【松永久秀】と【ゲマ】という名前ではないですか?」

元就は首を縦に振る。どうやら、この二人が今度ぼ事件に深くかかわっているということが言いたいようだ。

 元就「どうやら、事態を理解してくれたみたいだね。会議が終わったらすぐに支度してほしいと先ほど【厳島長官】から連絡が入ったんだ。なかなか君と話しかける機会がなかったから今伝えておく必要があると思ってね。私はすぐに会議の準備に取り掛からないといけないから、よく目を通しておいてくれ。それじゃ、また会議で。」

 いつもの柔和な顔ではなく、引き締まった顔で話すと、室長はそのまま議会室へと向かっていった。

それから幾分か時がたった。無事に会議が終わり、偉人たちや各国首脳人、そして、時空省の関係者は各国の時空省へと帰宅の途につこうとしていた。私も、警備団の団員たちと別れを済ませた後、車の中で先ほどの資料をもう一度見返す。今回の事件、この二人が関わっているとならば、【辻谷】君に同行してもらわなくばいけないだろう。その前に、何か準備しなくては行けないと考えながら、その日の残りは終わっていったのであった。