幕間之2 聖職者たちの集い2

言峰「ほう…これは、かつて【愛・地球博】が行われた場所ではないか。今は、公園として整備されているそうだが、ここに石版があると?」

 ゲーニッツはその言葉を聞き、「その通り」と首を縦に振る。

ゲーニッツ「その通り、この場所に三番目の石版が【あった】と私の日本人の協力者であり、友である【社】というものが突き止めてくれました。どうやら、ここの【記念館】の職員さんが何やら謎の石版を見つけたとか。それがこの写真。どうです、我々の持っている石版とよく似ているでしょう。

 プッチ「うむ、確かに良く似ている。しかし、これが本物である証拠はあるのですか?以前、私は母国で偽物をつかまされそうになったのですが。」

 これは今から半月前のこと、プッチは母国アメリカで石版の探索を行い、情報をもとにして石版を見つけたが、精巧な偽物だったことがある。石版が本物であるかどうかは、他の石版と全く同一の寸法やデザインでなくてはならないのだが、違ったのだ。そんな彼の疑問に対し、ゲーニッツは落ち着いた様子でこう話す。

 ゲーニッツ「安心してください、すでに職員の方にはこちらから連絡を取っております。後は、我々がそこに向かえば…」

そう、あとは約束通り、そこへ向かえばいいだけの話だった。だが、それはゲーニッツが持っている携帯電話の着信音が

すべてを消し去る。

 ゲーニッツ『おやおや、一体このようなときに電話がかかってくるとは。…しかし、何故ですかねぇ、胸騒ぎがしてきたのですが。』 はい、もしも…」

 ゲーニッツがそう言い終わろうとする前に、電話越しから響き渡る怒号でかき消された。電話をかけてきたのは。先ほど彼が話した友人【七枷 社】である。

 社「ゲーニッツ、今お前テレビ見てないのか!ちょっとつけて見ろ!大変なことになってんぞ!」

社の声は、ホテルの部屋にいる二人にもはっきりと聞こえるほどだ。三人は、この声を聞いた瞬間、何かしらの不安が襲い掛かってくる。そして、テレビをつけた瞬間、その予感は見事的中することとなる。現在、テレビではニュース番組が放送されている。今現在映し出されているのは、窓ガラスが割れ、火事とまではいかないものの、ボヤ騒ぎが起こったのだろうと思われる建物だ。…そう、その建物こそ彼らの行こうとしていた【愛・地球博記念館】ではないか。

三人は、映し出されているその光景に何も言えない状況であった。彼ら以外にも、石版を手に入れようとする者たちがいるということである。しかも、かなりやり口が強引であるということだけはよく理解できた。ゲーニッツは、少しばかり動揺を隠しきれない様子ではあったが、すぐに落ち着きを取り戻したような口調で、且つ慇懃な態度に戻った。

 ゲーニッツ「えぇ、今付けましたよ。どうやら、何者かに先を越されてしまったようですね…。」

 社「あぁ、お前の言う通りだ。お前の言う通り、敵対勢力が出てきたみてぇってことだ。」

社が電話をかけているところは、事件が起こった【記念公園】のすぐ近くだ。ゲーニッツは、情報をつかんだ社を先に向かわせ、そのあと我々がスムーズに石版を回収させる。そういうシナリオを描いていた。しかし、それは見事頓挫したこととなる。