時空省 幕間編 3  D4C 2

 ヴァレンタイン「そうか、それ程厄介であるというわけだな。…しかし、夜までまだかなりの時間がある。それまで私は何をしてやればいい?」

 副首相「いえ、夜まで待つ必要はありません。」

大統領はその言葉を聞き、いぶかしげに思い、それはどういうことなのかと聞き返す。

 副首相「はい、そう思われるのではないかと思いました。そのことに関してですが、それは【こちら】に来てからで構いませんか?そう、アパラチア山脈に。」

 

 その日の午後、大統領は炭田のある【アパラチア山脈】に到着する。炭田では、今日も休みなく多くの人々が働いている。

これだけ多くの人が集まっている中で国のトップである大統領が、このようなところに現れたとなると混乱は必須だ。そのため、彼は素性を隠し、誰にも気づかれぬように炭田の管轄事務所へ入りこむ。すると、中には、副首相をはじめ、政治家やブルジョワジー、そして、炭鉱の経営者がそろっていた。大統領はこの光景に少し驚いたようで、よくばれずにここまで来れたものだとなぜか感心していた。とはいえ、驚いている暇はない。大統領あるもの、どのようなときでも威厳が無くてはならない。いつものように、彼は毅然とした態度を取り、いつものように彼らの前に現れる。

 ヴァレンタイン「おはよう、というには少し遅いかな、諸君。」

集まっている者たちは右手を胸に当て、声のするほうを振り返る。しばらくして右手を下ろすと、各々すぐに長方形の卓を囲むように座る。無論、大統領は上座だ。こうして、今回の会議は粛々とした雰囲気で始まることとなる。

 ヴァレンタイン「さて、皆準備ができたところで今回の事件について話しあおう。まずは副首相、君から話を聞こうではないか。」

 指名された副首相は、集まった者たちに事件の経緯についてもう一度説明する。そして、話は次第に本題へと入る。果たして、どうやって謎の者を捕まえるか、という話に入っていた。

 

 政治家A「しかし、困りましたな。この炭田はこの国の産業になくてはならないもの。早く事件を解決しなくてはいけません。」

少しやつれたような見た目をしている政治家の一人は、見た目通りのやつれた声を出し、副首相に問いかける。その言葉に、副首相はいつものように落ち着いた雰囲気で答える。

 副首相「そう心配されるのは無理もないことです。しかし、すでに手は打ってあります。まずは、これを見てください。この炭鉱の見取り図です。」

 副首相は、そうして卓の下から巨大な地図を取り出す。大統領を含め、皆その地図を見つめるのを確認すると、彼は、説明を始める。

 副首相「御覧の通り、この炭鉱がどのようになっているか、よくわかる地図です。今回事件があったのは、この赤い丸で示したところです。そう、すべて同じ坑内で起こっています。そこを重点的に調べてもらえればすぐに見つかるはずです。」

 政治家B「ふむ、成程。ここは確かつい一週間前、鉱物が取れなくなり廃抗となった場所、何者かがそこに住みついているというわけだ。」

 がたいのいい政治家の一人がそう答えると、副首相は【EXACTRY】、即ち【その通り】と彼に返した。