時空省 幕間編 3  D4C 3

 副首相は、そのまま他の人にも見えるよう、その場所にを指し示す。

副首相「ほかの皆さまもお分かりの通り、この坑道は他とは一切交わらないのです。おそらく、犯人はここならばれずに隠れ潜んでいる筈!しかも!その犯人は【スタンド使い】である可能性が高いのです!」

 

 スタンド。ここに集まっている、彼の能力を知っているごくわずかな者たちはその言葉に周りはざわつき始める。そう、敵はスタンド使いであるというのだ。これは非常に厄介なことである。スタンドは、スタンド使いにしか見えないのだ。そう、この中でスタンドが使えるものはただ一人、大統領のみである。

 

 そのことに、もしやと思った政治家の一人は、自分の思ったことを副首相に告げる。

政治家C「も、もしや、大統領【一人】でそこへ向かうというのですか?」

 どうやら、彼の発言で、周りがさらにざわつき始めてしまったようだ。あるものは、あまりにも危険すぎるのではないかと大声でどなるように話し、あるものは、国の統率者であるものがそのようなことをと、怒るように叫ぶ。段々と騒がしくなっていく彼らに対し、大統領は「静まりたまえ!」と相当な大声で注意喚起するが、それでも静まらない。そのあと、二・三度いっただろうか、それでも静かになることは無い。大統領は、彼らの痴態をみて、すっかり呆れてしまっていた。仕方ない、そう思った彼は、ついに自身の能力 Dirty Deeds Done Dirt Cheap 【いともたやすく行われるえげつない行為】を使うことを決意した。

 今だに騒ぐことをやめない彼らはもはや誰にも止められない状況にあった。そんな彼らは、一瞬にして静まり返ることとなる。いつの間にやら、大統領の身を案じていた会話の内容が、なぜか政治論にまで発展し、熱くなっている面々の前に、突然大統領がおちゃらけたポージングをしながら大声で

どじゃ~~~ん!!

といい放ったのだ。一体大統領は何を考えているのかとふと思った彼らは、あることに気づくこととなる。見間違いがなければ間違い無い。大統領は【一人ではなかった】。そう、大統領がその場所に5人現れたのだ。これこそが、彼の能力である。正確にいうなれば、ここでは詳しく語ることはできないが、彼の能力の応用といったほうが正しいだろう。五人の大統領は、あたりを見回したのち、息子を叱りつけるような父親のような顔をしてこう述べた。

 ヴァレンタイン「安心したまえ諸君!決して一人ではない。ここにいるすべての私とここにいる副首相が共に探索する。これで安心してくれると私としては非常にうれしいのだが?」

 そうして、やっと静かになったところで、皆つかれてしまったのか、そのまま会議は散会となった。

それから一時間後、洞窟の中を探索している5人の大統領と副首相は坑道の中を探索していた。大統領は一時間前のことが頭から離れずにいた。確かに、国のトップである自分が最前線に出てくることはあまり芳しくないのではないかという心遣いは分かる。しかし、自分はこの国を幸せにする義務がある。そのためには、自分で率先して前に立つのが一番ではないのか?そう考えるのが彼である。