時空省 幕間編 3 D4C 4
ヴァレンタイン「しかし、ああでも言わないと彼らはあのまま無意味な論争を続けていただろう。あの場で私が彼らを制止させ、会議を早めに切り上げてまったく正解だったと思わないかね?」
副首相「ええ、まったくその通りです。あのまま続けていればどうなることになっていたか。しかし、それよりも今は敵がどこにいるのかを確かめながら進んでいくのが一番です。あぁ。私はスタンドが見えないのでどこからくるかまったく恐ろしい話です。」
ヴァレンタイン「いや。それ以前に、こうして松明で明かりをともさないと分からない程の暗さであると、それ以前の話となるが?」
彼の言う通り、ここは洞窟と全く同じといっていい。奥深くまで入ると、太陽の明かりは全く入らなくなる。これでは、暗闇で何者がいるのかすらわからないのだ。当然、スタンドも肉眼では見えることは無いのである。しかし、それにしても長い坑道
だ。中へ入ってから40分ぐらいは過ぎている。もうそろそろ、最深部へ到達するはずだ。五人の大統領と副首相は、炎を右へ、左へとかざし、凶悪な者がいないかどうか確かめる。
しかし、結局何も見つからずに終わることとなったようだ。正面に見えるのはただの壁、元に戻るしか無くなってしまった。
仕方なく、大統領達は坑道からでることにした。
ヴァレンタイン「どうやら、今回は見つからなかったようだ。仕方ない、一旦外へと出るしかないようだ。」
副首相「全く持って然りです。皆さまもお待ちしていらっしゃいます、出ることとしましょう。」
こうしてさらに一時間経った。大統領は、残りの自分をもとに戻した後、再び事務所のもとへ着く。ただ、何かがおかしい。確かに、外で行われている作業に比べれば、ここはあまりにも静かではある。しかし、何やらそれとは違うのだ。ここは一応森の中にあるのだが、それにしては、まるで生き物の気配を感じられない。明らかに不気味な雰囲気である。
副首相「閣下!」
ヴァレンタイン「あぁ、分かっている。私も何か不穏なものを感じている。もしや…。」
その予感は、ほぼ間違い無いと確信する。窓に赤黒いものが斑に広がっているのが見えたからだ。二人は、急ぎ事務所の中に入り込む。そこは、地獄のやりようだった。ズタズタに切り裂かれた肉片があたりに飛び散り、もはやそれは何であるかはもはやわからなかった。
?「おっ、どうやらジャシン様に届ける生贄が来たようだぜ。クゥ~、今日は実にいい日だ!おっと、先に祈りを済ませておかねぇとな。」
大統領は、声のするほうを向く。そこには、朝焼けに赤く光る雲がかかれた、黒い外套を着た男が二人立っていた。一人は
大鎌を持ち、一人は、老人のようだがとてもそのようには見えない程しっかりした背筋をしている。今度は、老人が恐ろしいほど不気味な低い声を発し始める。
??「またあの儀式とやらをするのか【飛段】!」
?「なんだとぉ?信心深く無いあんたにゃ分からねぇかもしれねぇがよ!やらなきゃならねぇんだ!ったく、これだから金しか信用してない奴はいかん。」
??「いや、俺はむしろカルト宗教を信用しているお前のほうが信用できん!」
なぜだかよくわからないが、犯人と思しき二人は突然喧嘩を始めた。このようなことをしておいて、よくもこんなことができるとは。そう思う彼は、怒り心頭に来る。