時空省 幕間編 3  D4C 6

そうこう考えことをしているうちに、大統領は追い込まれているようだ。何故かわからないが、あの分身を全く出そうとしていない。次第に追い込まれていく大統領は、血だらけになりながらも必死の抵抗を続けている。だが、彼はもうそんな体力すら残っていないのであった。一切動けず、ただ横になることしかできないその様は、一国の主とはいえ、ただの人間でしかないということだ。

 飛段「けっ、大したこたぁねぇな。こんなに貧弱な野郎とは思ってなかったぜ。」

 角都「まったくだ。どうやら分身を出す暇すらなかったようだな。」

飛段は無残に横たわるそれに何の躊躇もなく鎌を振りおろそうとする。とどめを刺し、己が信仰する神に捧げる生贄を作り出す準備ができた。しかし、暴れすぎたせいか、どうやら近くにあった大きな棚の足元を切ってしまったようで、それが覆いかぶさるように倒れた。 

 

 飛段「おっと、アブねぇアブねぇ。ちょっと手元が狂いそうになったぜ。…てあれ?何か変だ?おい!角都。」

 角都「言われんでもわかる。何かおかしい。」

二人は、何か違和感を感じる。棚が人の上に倒れてきたのなら、その人の分浮き上がるはずだ。しかし、それは完全に倒れている。試しに二人は棚をどけてみると、そこにいたはずの人間がいない!。」

 角都「む、逃げられたか。床下に隠れたか?」

確認するとそれはないとすぐに分かった。仕掛け扉というわけでないというのは【忍】である彼ならすぐにわかることだ。しかし、そうではなかった。飛段も少しばかり広いこの事務所内をを探すが、どこにもいない。

 飛段「ん?おかしいな。どこにもいやしねぇ。どういうこった?」

窓や天井、そして入口。どこを探しても出た様子はない。二人は一体何が起こったのか、よく分からないでいた。

だが、大統領が何をしたのかを知っているものがいた。事前に彼のことを調べていたマダラと、【副首相】の二人だ。

 

マダラ「さて、ようやく始まったようだな【イタチ】。副首相からは洗いざらい聞けたか?」

離れてことの次第を見ていたマダラ、そして、副首相を幻術にかけ、情報を聞きだしたイタチが森の陰から現れた。

 イタチ「あぁ、全て聞きだした。彼にかけていた幻術は解いてきた。恐らく、何も覚えていないだろう。」

 マダラ「しかし、よくあんな虚言を考えたな。事件をでっち上げてるまでして。」

そう、今回の事件は彼らがはじめから仕組んだことだ。副首相の言った事件はすべて嘘。幻術で虚言を言わせただけである。勿論、あそこにいる政治家たちにも同じ内容で電話をされ、集まってきたのだ。

 イタチ「とっさに考えたものだから少し馬鹿げた内容になったがな。結果的に、うまくいったから良しとするが。大統領と副首相だけは申し訳ないと考えているが、あとは【汚職】や【わいろ】で上り詰めた悪党だ。罪悪感はない。」