時空省 幕間編 3  Dirty Deeds Done Dirt Cheap 【いともたやすく行われるえげつない行為】7

 マダラ「ふっ、確かにな。あのような者は俺の理想とする世界には要らん。むしろ、必要なのはあの大統領のような気高き人物かもしれん。」

二人は、森の中からわからないように、再び事務所の窓の中を見る。二人とも視力は悪くない。なにせ、忍だからだ。遠いところから何かを見るということには馴れている。事務所の中では、同じ【暁】のメンバー、飛段と角都は大統領がどうやってこの中から出られたのか不思議がっていた。

 飛段「おいおいおい!どこにも逃げた形跡がないぜ?血まみれになってんだからそのあとを探しゃいいはずなんだけどよ、そのあとがねぇ!」

 角都「確かに、少々おかしなことではある。奴は一体どこへ行ったのか。」

二人は、事務所の中を探すことを諦め、外へ探すことにした。この時、二人が大統領の術中にはまっていることは気づいていなかった。

飛段が入口の錠に手をかけ、開けようとしたその時、それは始まった。飛段は突然後ろから背中を蹴られたのだ。飛段は、この場にいるのは角都だけだから、彼がやったのだろうと思いこみ、「おい!今俺の背中を蹴ったんじゃねぇか?」と怒鳴る。勿論、角都は否定する。確かに彼はキレぐせがあり、今まで何人か、パートナーを殺してしまったことはある。だがしかし、今は特に気持ちが高ぶっているとかそういったことは無い。ゆえに、飛段を蹴る必要は一切ない。角都は否定するものの、飛段は怒りが収まらない。更に、角都は誰かに足を踏み抜かれたような痛みを覚える。これで本当に切れてしまった彼らは、ついに口論にまで発展した。

 飛段「おい!角図ゥ!日頃俺に恨みがあるからってよぉ、俺でストレス発散てのはどうなんだァ?」

 角都「それはこちらもだ。貴様も一体この俺に恨みがあるなら行ってみたらどうだ?」

こうなるともう止められない。二人は喧嘩を始めようとする。

…しかし、それは二人を打ち抜く銃弾で止められることとなる。あたりに響くは乾いた音。そして、音の発信源にはこの国の国家元首が立っていた。

 ?「君たち、このようなところで喧嘩はよろしくはない。今すぐやめたまえ。…とはいえ、これでやめそうには見えないがな。」

運よくかすり傷ですんだ彼ら二人は、音がしたほうを振り返る。すると、そこは事務所の中からではないか!

 飛段「あぁ?何がどうなってんだ?いつの間に中にいたんだアンタ?」

驚きを隠せない二人に【ファニー・ヴァレンタイン】は満足な笑みを浮かべる。それもそうだろう、自分が描いたシナリオ通り、二人が動いてくれたからだ。大統領はさぞ勝ち誇ったような口ぶりで事の真相を話し始めた。