時空省 幕間編 3  D4C 8

なんとか無事に切り抜けた二人は、自らの所属する組織のリーダ【ペイン】のところへ向かっていた。

 飛段「…ふぅ。これなら無事に逃げられそうだな。そろそろ、リーダーのいる場所まで逃げられそうだな。」

しかし、そのようなセリフを言ったはずなのに、なぜか心が休まらない。

 角都「確かに、このまま無事に逃げられたらの話だ…。」

角都は不穏なことを発する。なぜだか理由は分からないが、彼も何やら嫌な予感を感じていた。長年生きてきて培った【感】が自分に訴えてきたのだ。あと1分ぐらいで目的の場所にたどり着くはずだが、なぜかそこがはるか彼方のように感じる。もうそこまでというのに何なのだろうかこの予感は。もうその場所が見えたというのに。そして、二人の感は的中することとなる。

 ヴァレンタイン「…残念だが、君たちはここで終わりだ。この国のために消えてもらおう。」

正面に見えるはおそらく100人はいるであろう。同じ顔をした人間が目の前にずらりとそろっている。…終わった、もうどうあがこうが無駄だ。

 ただし、そう考えるのは普通の場合である。もし、二人だけであったら確かに諦めた。しかし、もしももう一人いて、しかもその者が奇跡を起こせるなら。

 ?「神羅天征

その者はそう唱えた。すると、百人の大統領だけでなく、あらゆるものが消し飛ぶ。この技を詳しく知る二人は対処法を知っていっため無事によけることが出来たが、それ以外もの。そう、木々や森の動物たち、そしてヴァレンタインたちは悲惨なこととなった。

 ?「遅かったな、かなり手こずったようだが?」

二人の前に現れた暁のリーダー【ペイン天道】は、倒れた木々に身を隠している二人のいる方向をむく。その二人はというと倒れた木をどかしている。二人とも先ほどの爆風で砂埃がついている。

 飛段「ひぇ~、手がげんしないリーダーだこと。俺たちまで死ぬところだったぜ。」

 角都「そういうな、恐らく、リーダーも一応手加減はしているはずだ。実際、我々は死んでいないからな。」

この話を木の陰で聞いていた、生き残った大統領のうちの一人、いい変えれば、この世界を基本としたファニー・ヴァレンタインはその言葉を聞いて絶望を覚える。先ほどまで優位にたっていた自分が、一瞬にして終わったのだ。どうやら、彼は平行世界の大統領のみこの世界に残し、自身は彼らのいた世界で隠れていたのだが、いざ戻ってみるとこのありさまだった。作戦は失敗した。この国を守るために立ちあがった男は、神の力によって敗れ去った。はっきり言ってこれは予想外だ。仕方ない、平行世界から彼らのそっくりさんを連れてきて━

そう考えている暇は一切なかったようである。なぜだかよくわからないが、輪廻のごとき輪を持つ瞳を持った男に引き寄せられていく。どうやら、リーダーと呼ばれた男の能力らしい。引き寄せられる中、ヴァレンタインは敵方三人の後ろに、何やら黒い穴のようなものが宙に浮いているのが見えた。その中は色々なものがうずくまっている。それは、見たことないような世界や、今まで見たことのある世界達である。何とも言えない不思議なものだ。

どうやら、この三人はその中から来たということが直感で理解できた。飲み込まれたら終わりだ。大統領は、能力を行使するために必要な道具の一つ、【星条旗】に身を包み、穴に飲み込まれぬように身を隠す。彼の能力は、何かにくるまったり、挟まれることによってそっくりな世界を移動することができるというものだ。彼は、この穴のない世界に逃げるつもりだった。しかし、神の力は強力であった。

 ペイン「そのまま異世界へ招待してやろう。お前が一切たどり着けぬ世界へとな!」

そのまま、彼は暗黒へと飲み込まれる。飲み込んだと同時に、その穴は、何もなかったかのように消え去っていった。