時空省 幕間編 3  D4C 9

 ペイン「これで必要な者たちはあらかたそろったというわけだ。これで、あの女の言う通り、【尾獣】を一匹頂けるというわけだ。」

 飛段「あ~あ、なんかかったるいぜ。これなら後一匹欲しい気分だ。」

 角都「そういうな飛段。タダでもらえた分、財布役としてはうれしい話だ。」

 

三人の所属している組織【暁】は、とある人物から依頼されてこのようなことを行っている。それは、人を超越した力を持つものを連れてきてほしいという内容だった。そうすれば、彼らが欲しているものをやる。そういう約束をしているのだ。しばらくすると、彼らの契約者である【ゼーナ】という女性が現れた。美しい銀の長髪をたなびかせる彼女は、研究者の格好をしているものの、不思議なことだが、こちらが飲み込まれるような容姿をしている。彼女は、落ち着いた声で、ペインのもとへ歩み寄る。

 

 ゼーナ「皆さん、お疲れ様。これで、能力者は一定数そろったわね。さて、もうそろそろ彼も現れる頃かしら…」

ペイン達ににねぎらいの言葉をかける彼女。その後ろでは、突如現れた烏の群れが大声で泣き喚いていた。これは、同じく暁のメンバーである【うちはイタチ】の忍術【烏分身】である。烏たちが次第に集まっていくと、それが人の形を成していく。

 イタチ「…その様子を見たところ、どうやらすべて終わったところだな。」

低く、落ち着いた声が烏たちのほうからする。いや、もうそれは完全な人の姿と化していた。副首相を操っていた彼も、彼にかけた幻術を解いたのち、約束であるこの場所へ現れたのだ。

 ペイン「これで、どうやら全員そろったというところだな。これで、我々の第一任務は終了したわけだ。」

ペインはすぐにゼーナのほうを振り返り、無言の意思疎通をとるような目つきで見つめる。彼女は心配しなさんなといった表情で 

 ゼーナ「すでに、一体をあなたたちのアジトに置いてきているわ。…さて、これで一つ目の依頼完了ね。長かったけど、よくやってくれたといったところかしら。」

飛段と角都はめんどくさいといわんような顔を、ペインとイタチは表情を変えずに聞いている。

 飛段「ふぅ~。これでようやく半分って所か。ま、仕事なら仕方ねぇけどな。それでよネェチャン、あと一匹はちゃんと仕事をこなしゃあもらえるんだろうな?」

 イタチ「安心しろ、【俺たち以外の者たち】も仕事さえこなせばいただけるはずだ。さて、五日後には再び任務に戻る。皆、元の世界でゆっくりしていればいだろう。」

ゼーナが何やら機械のスイッチのようなものを手に取ると、先ほどのような黒い穴が開く。これが、彼女の開発した【次元移動装置】だ。五人はこれを活用し、穴に吸い込まれるようにしてもとの世界へ戻っていく。