第三章 BERSERK 4

 間も無く。漢字で表すとこのようになるが、その言葉通り、すぐに何か物音がし始めた。最初は、本当に小さなもので、聞き取るのもやっとというところであった。30秒ほど経った時には、さらに大きくなり、間違い無く金属の音であるということが理解できた。更に一分経つと、その金属音は、何かしらの武器同士の音であるということが完全に理解できるようになった。

 この戦いを見続けていた各々は、始めは何やら戦っているということは理解できたが、どのような戦いが起こっているのか全く理解できないでいた。だが、音がはっきりしてくると同時に、まず何やら【黒い者】が、巨大な何かと対決していくということが理解できた。恐らく、こちらに近づいてきているのだろうか。時間がたつと、更に詳しい状態が分るようになっていく。巨大な物体が、よく見ると首が無い、騎士の格好をした化け物であるということも驚愕であったが、それより目を引いたのが【黒い甲冑】、いや、鎧を着た、鬼気迫るそれに目を、心を奪われてしまっていたのだ。

 

 辻谷「ついに、こうなってしまったか…、やはり相手が【使徒】と呼ばれる怪物であったということがこれで証明されたということか。」

 

 ここで一旦、25世紀の鹿児島から、21世紀のアメリカへ向かう辻谷一行の話である。彼は、陸奥とリヒターを引き連れ、アメリカ時空省に向かう途中の飛行機の中、中国支部の【司馬懿仲達】と、日本時空省図書室事務員【国分】から、連絡を取りあっていた。連絡方法は、飛行機のプレミアムシートにのり、そこでしか使えない最新鋭の立体画像型テレビ電話を用いてである。

 辻谷「これはこれは司馬懿殿、半日前に連絡してから久方ぶりですね。それと、国分事務員、同郷の者としてよろしく頼みますよ。」

 立体画像に合わせて、辻谷の後ろにいる陸奥とリヒターも頭を下げる。そのあと、残りの四人も挨拶を済ませ、話は本題に突入する。

 司馬懿「うむ、それでは話を始めよう。あなた方が、今回の作戦における要となるゆえ、残りのメンバーとは別に話をすることにした。まずは、国分殿、話を続けてほしい。」

 国分「はい。まず、話に入る前に、辻谷さんたちは山本時空省次官目下その仲間たちがが行方不明になったことと、厳島長官と土庄大臣が暗殺されたという話は聞いていますね。」

 

 辻谷は座したまま、首を縦に振る。この話を聞いたのはちょうど鹿児島を経った時のことだ。はじめは何が起こったか理解ができないほどの強い衝撃をうけた。先ほどまで一緒に馬鹿をやっていた友人が行方不明になったとなると、やはり驚きは隠せないものである。しかし、こういう時こそ、自分がしっかりする必要がある。驚きは心の奥底にしまい、いまは、自分のことをすべきであるという強い意志のもとで、この事態をどう打破すべきかを考えることを優先した。