第三章 欲望の守護天使【ゴッドハンド】 3

 ガッツ「分からんって、いいのかそんなんで?このままだと、俺たちこっから出られねぇぞ。」

 アンデルセン「確かに、このままだと君の言う通りだ。いつまでもこんな所にいるわけにはいくまい。さて、ここれからどうしましょうか…」

 彼らは、この赤い荒野から逃れる手段を考え始める。しかし、このままだらだら話を続けるだけでは徒労に終わるということは理解していた。

皆がこれからどうするか話をしている中、ガッツによって斬り伏せられた怪物はまだ意識がわずかながら残されていた。元は人間であった彼だが、この状態になって平然と生きていると、嗚呼自分はもう人ではないと改めて感じてしまうのであった。もう人間で無くなってしまって幾年は過ぎたが、改めてそう感じてしまう。目のまえに広がる赤い荒野を見つめる自分には、もう何もできない。己の役割は、この場にあの者たちを閉じ込めておくことだ。しかし、それももう終わった。あとは、自分が死ねばそこで終わり、自分のことは完遂できる筈である。

だが、何故であろうか?自分の心は満たされない。今回、この作戦に喜んで自分から願い出たのにも関わらずである。

原因は只一つ、黒い剣士に出会ってしまったからである。

 デュラハン『ふっ、まさか、死ぬ前に後悔することとなろうとはな…。不覚だったというしかほかあるまいな。』

心の中では、そんなことを考えてしまう。ああ、このまま死んでどうなろうというのか。まさか、こんな考えに至ろうとは。

今、彼は強敵ともう二度と戦えぬという絶望を感じていた。まだ俺は死にたくはない。もう一度、この体が完全に動いてくれれば!

その時、首にかけていた【ベヘリット】が、持ち主の願いを聞き始めようとしていた。守護天使を召喚せしために…

格闘家の二人は、その異変に気付きつつあった。

 李「…気づいたか、少年。

 陸奥「ああ、この感じ。今まで味わったことがないような嫌な雰囲気を感じるぜ。」

流石というべきか、研ぎ澄まされし感覚は格闘家というものの長所だ。ガッツの次に気づいたのはさすがというべきであろう。

ガッツ「まっ、まさか!ここは平行世界のはず。そんなこたぁ連中に関係ねぇってのか!!」

彼は、首の後ろにある【生贄の烙印】から、出血が起こっているのを感じ取っていた。

その後、ほかの仲間たちも次々と気づき始めだす。それもそうだろう、先ほどの赤い大地から、どこぞと分からぬ場所が突如目の前に広がり始めたのだから気づかないはずがないのだ。

マダラ「さぁ、我々の予定通りだ。デュラハンには話していなかったのは悪かったが、彼らを呼ぶためには仕方ない。仲間になってもらうための計画はこれで整った。さあ姿を現せ、欲望の守護天使たちよ!時空の狭間を超えて!」