第三章 欲望の守護天使【ゴッドハンド】8

 ユービック「単純な話だ。あの首なしの騎士が再び【おまえと戦う】ため、【死にたくない】と感じているたからだ!死ねばお前と戦えぬという絶望に苛まれるからな。」

ガッツは、やはりかと感じていた。今まで後悔していなかった戦士が、それだけ強い後悔を抱くのは、【好敵手】に出会った他ないからだ。

 ガッツ「まぁ、そうだろうとは感じていたがな。…そんなに俺と出会えて満足しているのか?」

目の前で、倒れているその怪物は、もはや話すことはできないほど弱っていた。僅かに動くその首で、彼の問いに対し肯定することしかできなかった。

 ガッツ「そうか…、悲しい話じゃねぇか。あんた、もうそれだけしか幸福を感じられねぇのか。戦って戦って、その先には何がある?」

 己の境遇となぜか同じものを、目の前の怪物を通して感じていた。彼の発した言葉は、自分に対してでもあった。

 

 ガッツ「でもよ、あんた。一体何を捧げるつもりなんだ?もう捧げるものはないんじゃないのか?俺は捧げないんだろ?」

 ボイド「そのことに関してだが、捧げるのは【赤い荒野が広がる空間】だ。」

 ガッツ「あの空間?」

 ユービック「そうだ!あの空間は吸血鬼が王、ヴラド・ツェペシュが生み出したものだ!あの空間は死霊使いが使うには最適の空間だ。この砂漠の大地にさまよう魂を具現化するという途方もないものだ!」

そう、全てはこのためにとある男が仕組んだことであった。ある男が、四人の守護天使に会うために。

 マダラ「彼らと直接会うためにはこうするしか他ないからな。これで、満願成就となった。さて、それでは行くとするか。彼らのもとへと。」