第三章 欲望の守護天使【ゴッドハンド】 13

 ガッツ「くっそ、誰だ!?」

 ?「ふむ、それは私のことか?よかろう、私が一体何者か、姿を見せてやろう。」

彼の体を通り抜けていった黒い無数の蝙蝠は、一カ所に集まり始める。次第に、それは人の形を取り始め、遂には、伝説上の怪物、吸血鬼【ドラキュラ・ヴラド・ツェペシュ伯爵】となった。

 

 ドラキュラ「さて、これでよいかね、黒い剣士よ。私の名はドラキュラ!ドラキュラ・ヴラド・ツェペシュ!黒い剣士よ、名前は聞いている。どうやら、我が配下が世話になったようだな。」

その言葉を聞いて、ガッツは目の前に現れた者が誰か、はっきり理解した。そうか、こいつがあの騎士の親分ということだと。

 ガッツ「おいおい、あんたこの空間にどうやって入りこんだんだ!?」

彼の驚きも無理はない。普通なら、この空間に入りこむことは不可能である。もし、入ろうとするなれば、この空間を斬り裂くか、時空間を移動できる能力を持つものが手引きすれば話は変わってくる。

 ドラキュラ「ははははは!驚くのも無理はなかろう。確かに、私の力だけではこの空間に入ることは不可能だ。しかし、協力者がいれば話は別だ。」

 その協力者は、この空間の中潜んでいた。その男は、辻谷たちが打ち倒そうとしていた松永久秀を狙ていた、ひとすじの矢を素手でつかみ取り、それを片手でへし折った。

  ?「どうやら、間一髪のところで間に合ったようだな。…さて、久しぶりだな、【辻谷広行】。お前の友は元気にしているか?

間違い無い。辻谷は、その仮面の男を忘れはしなかった。そう、彼が追っていた、うちはマダラに間違い無かったからだ。