第三章 救援1

黒く渦巻く、竜巻のようなそれは、外側から見ても異常な光景だった。一体何が起こっているのだろうか?砂漠を通りかかる人たちも、一体何が起こっているのか、理解できないでいた。自然現象なのか、それとも、宇宙人による仕業か?それは、常人にはとても理解でき無いものだった。  

あそこで、自分の友人が待っている。その渦の正体を知るものは、ごくわずかであった。その光景を見つめる二人の若者も、それが一体何であるか理解している者たちである。

 ?「はぁん。で、あそこにお前さんのご友人がいるってわけか。まったく、いくらマスターが何も言わねぇからって、ほんとに俺をこんなとこまで連れてくるとは。見た目より結構行動力あるよな兄ちゃん。」

 ??「そのセリフ、ほめ言葉として受け取っておくよ。さて、どうする、ランサーの兄さん。」

ランサーという、赤い槍を持ち、青を基調とした装束を身にまとった青年に対し、【時空省次官】は尋ねるように話しかける。

 ランサー「決まってんだろ。世話になった礼ぐらいさせてほしいといったのは俺のほうだ。暴れさせてもらうぜ、誠一さんよ!それにしても、今回の作戦のメンバーに半妖の兄ちゃんと東洋の大妖怪さんに妖怪の少年。そして、直死の魔眼をもつ嬢ちゃんとは、念を入れてんな。まっ、魔眼の嬢ちゃんは俺の知り合いだがな。」

 

 ランサーは、思わず感嘆の表情をする。成程、目の前の男がどうしてその地位に付けたのか、これだけのメンツを見れば納得できる。 目の前にいる異界の英雄たちを、ケルトの神話に名を残す英雄が見つめる。これなら、あいつに一泡吹かせてやれるに違いない。その意向をくみ取ったか、山本誠一次官は、稀代の英雄に対してこう質問をする。

 山本「どうやら、彼らを見て意気高揚しているみたいだな。では、準備もできたみたいだし、作戦を実行するとしようか。」

そう言い終わると同時に。両手に、自身の愛用の得物であり、未来の技術の結晶【白閃】を握り締める。

 ランサー「そうだな、行くとしようか。総大将さんよ!行くぜ!お前さんらも敵さんに一泡吹かせてやろうぜ!」

二人の号令に、彼らの仲間たちも威勢の良い【応】の返事で返す。時は来た。遂に、逆襲の時が来たのだ。今まで辛酸をなめられてきた英雄たちのため、今ここに反撃を開始するのであった。