第三章 救援2
その黒い渦の中で展開されている物語も、もう間もなく終わる。そのことは、渦中の者たちには未だ知りえなかった。今、彼らが集中しなくてはならい相手は、暗黒たる物語すべての元凶たる仮面の男、【うちはマダラ】だ。
辻谷たちは、突如現れた黒幕に対し、一斉に戦闘隊形を取りなおす。はじめ、啖呵を切ったのは辻谷だ。彼がはじめに啖呵を切ったのは、マダラのセリフに気になったことがあるからだ。
辻谷「貴様…、もしかしていまモッさんがどんな状況にいるのか、知らないような口ぶりだな?」
そう、行方不明の我が友人、山本誠一は今のところ行方が分かっていない。恐らく、そのことはうちはマダラも分かっているだろう。
マダラ「ああ、そうだったな。【知っているとも】。何故なら、今こちらに向かっているからな。」
一瞬、彼を含め、周りの者たちは驚愕する。
陸奥「それは一体どういう…」
言葉を言い終える前に、陸奥と李書文、そして、アタランテはすぐに何が起こったのか察知した。
松永「どうやら、卿らの中に気付いた者たちがいるようだ。…さて、マダラ殿。助けて頂いてすぐこのようなことを言うのは、この私でも少々気が引けるが。」
マダラ「ああ、分かっている。もうそろそろ時間だ。」
命拾いした松永は、珍しく謝辞を込めたような話方でマダラに話しかけると、彼の意を汲んだマダラは【時空転移】の術で移動を開始しようとする。
アタランテ「待て!逃しはしない!」
彼女は、弓を半月の如く引き、弓をそのまま放とうと一連の動作を始める。しかし、背後から何者かが迫ってきたことを瞬時に感じ取り、陣取っていた車の上から退去する。
火遁!!豪火球!鳳仙花の術!!
突如、宙から降り注ぐ火球、それに連なる火の粉の雨。それにより、高価そうな車は大破炎上した。
マダラは、このようなこともあろうかと、あらかじめ自身の血族を連れていた。そう、うちはイタチである。