吉良吉影は、平穏に暮らしたい 5

 吉良「何?この私に興味のある話だって?」

吉良は、表情の読み取りにくい相手に面倒だと思っていた。だが、マダラは自分にとって何かしらいい話ではないか?そう思って耳を傾けることとした。その前に、ここではあまりにも目立ちすぎる。

 マダラ「おっと、ここではあまりにも目立つ。少し場所を移そうではないか?ほかにも話したいことがいろいろあるからな。」

マダラの提案に、吉良はもっともだと首を縦に振る。マダラも、極力自分の素顔を見られたくないのか、怪しまれないように仮面は外したものの、少し急ぐような形で移動を開始した。

 二人は、海の近くにある公園まで移動し、近くのベンチで会話を始めた。その名も【三笠公園】。明治時代に使用された戦艦【三笠】が展示されている公園だ。それにしても、傍から見れば、実に滑稽だ。大の大人の男がベンチに並ぶということが、これほど面白可笑しいとは二人とも思っていなかった。

 マダラ「…さすがに、こう並んで座るのも違和感があるな。立って話をしてもいいのだが?」

 吉良「いや、このままでいいよ。自分の殺人衝動を抑えるのが困難になりかけているからね。でも、あなたを殺すことはできないでしょうが。それよりも、何だい。もしかすると、あの娘について何か知っているとでも。」

マダラは吉良に右手人差し指を向けながらその通りだと答える。

 マダラ「そうだ。お前も知っていたようだが、あの娘が【艦娘】と呼ばれている存在だ。かつての軍艦の魂を受け継いだ存在ということだけは俺も事前調査で知って入るが、そのほかの情報はまったく不明だ。【九十九神】のような存在なのか、それとも、人間に何かしらのものが憑りついているのか、そもそも全く別の存在か。まぁ、少なくとも、見た目は人間の女性だということだ。」

 吉良「そうだ。あなたの言う通りその点は把握しているよ。少なくとも、彼女たちもとい、この世界に【スタンド】は存在していないようだ。」

 マダラ「そうだな。それよりも、あの大淀という娘はここの鎮守府の【提督】の秘書であることは知っていたか?」

吉良は、彼の言葉をきいて少々納得したような表情を見せる。なるほど、それで彼女の知名度が高いのか、吉良はすぐに理解できた。

 吉良「なるほど。確かに、彼女はこの世界でも割とメディアに対する露出が多いとあの【女科学者】から少し耳には挟んでいたが、そういうことだったのか。要は、彼女は大本営の広報というわけか。」

マダラは再び吉良に指を向け、中々よく理解していると笑みを浮かべる。