吉良吉影は、平穏に暮らしたい 6

 マダラ「ご明察。お前の考えている通りだ。まあ、最近は深海棲艦の猛威もそうなくなってきているために少々浮かれているのかもしれんが、艦娘がメディアに露出する機会も増えてきているらしい。」

 吉良「ふむ、なるほどねぇ。確かに、艦隊のアイドルとかいう輩が行っているライブの様子がこのまえテレビに映っていたかな。全く、あんな小娘があんな怪物と戦っているなんて考えただけで滑稽だ。」

二人して、その光景を想像して苦笑してしまった。段々話が脱線してきたので、マダラは話の内容を軌道修正し始めた。

 マダラ「おっと、そんなくだらない話をしている場合ではなかったな。お前に対して有益な話をするはずだったな。その前に、まずこちらの資料に目を通してくれないか?」

マダラの右手には、数枚のA4用紙が握られてあった。そのままマダラは、吉良に書類を手渡すと、右手人差し指でとある部分を指した。

 吉良「なんだいこれは?」

 マダラ「お前がこれから就く【役職】だ。俺が人脈を駆使してお前の夢に少しでも近づけられるように考えたものだ。苦労はしたがな。」

驚いた。自分のことをここまでよく理解してくれる人だとは考えていなかった。まさか、艦娘たちが働いている【横須賀鎮守府】で働くことになるとは彼の中でも意外なものだった。しかも、あえて軍人という形ではなく、小売り業という形で働けるとは考えてもみなかった。

 マダラ「お前は確か、全国展開しているスーパーを保有する小売り企業で、営業マンをしていたらしいな。中々働きぶりもよかったと聞いている。そこでだ。お前には、転職という形で、鎮守府の小売り施設、通称【酒堡】で働いてもらう。表向きはな。」

 吉良「なるほど、本当の目的は、ここで【諜報活動】をしろ、というわけだね。分かった。私の平穏な生活が邪魔されないというのであれば、ぜひとも手伝わせてもらおう。」

吉良の理解力の良さに、マダラは舌を巻いた。その吉良は、二つ返事で快く引き受けることとした。

 吉良「いいんじゃあないかな。もしかしたら、鎮守府には彼女以上に美しい手を持った人がいるかもしれないしね。それを見つけるのもいいんじゃないかな。」