吉良吉影は、平穏に暮らしたい 7

この発言は、正しい判断力を持つ成人なら絶対に言わないであろうセリフだ。だがしかし、この男は人がいないからといってそう言った発言を平然と言ってのける所が普通の人間とはちがったッ!

 マダラ「なら、明後日から早速働いてもらおうか。安心しろ、お前の安全は俺が保証する。…おっと、申し訳ないが、俺は今から別のところへ移動せねばならん。」

そのままマダラはベンチから立ち上がると、人影の無い場所へと移動を始めた。恐らく、彼の移動手段である【時空間転移】の術で移動するのだろう。さすがにこのようなところでこの世界には存在しえない【忍術】を使ってしまってはよく無い。

 吉良「そうか、行ってしまうのかい。あなたもあなたで忙しいようだ。まぁ、互いに頑張るとしようじゃあないか。お互いの未来のためにね。ふふふ。」

こうして、この世界線に起こる侵攻作戦の前段階が実質終了した。そして、この世界における次の日のことである。

 マダラ「さて、このあたりで間違い無いはずだが…。これほど不気味な森は、木の葉の里近辺にも無いな。…どうやら、目的の場所が見えてきたようだ。」

マダラは富士の樹海を訪れていた。霊験あらたかなこの地には、龍脈という神秘に包まれた自然エネルギーが多く集まる場所でもある。マダラは、とある人物…いや、人ではない。【魔王】と呼ばれているある者に出会うため、マダラはこの場所にやってきたのだ。

マダラは木々の間から見える祭壇らしき物を発見した。祭壇からは、青紫色のオーラが生じており、何とも言い難い不気味な光景だけが広がっていた。

 

 マダラ「何とも言えん光景だ。中々に近寄りがたいものだな。…おっと、どうやら、俺が会いたかった【魔王様】がいらっしゃるようだ。」

視線を上にあげたマダラは、祭壇で祈祷を捧げている魔王【遠呂智】の姿であった。

 

 遠呂智「…来たか、異世界の強者よ。」

 マダラ「ああ、来てやったさ。それより、祈りを捧げなくてもよいのか?」

 遠呂智「問題はない。すでに終わったところだ。後は、術式を組むだけだ。」

魔王は、愛用の得物である【大鎌】を上に振り上げると、祭壇を中心として、円形の術式が現れた。