異世界侵攻録 逃亡と進行 11

元就は、彼らならきっとこれから起ころうとする困難な事象を解決できるのではないかと心の中から確信した。そんな彼らの話を横から聞いていたエルリック兄弟と、皆の様子を見に来た銀時は、しみじみした気持ちとなっていた。三人は、自販機で購入した、ジュースの入った缶を握りしめたままの姿勢になっていた。

 エド「そうか、帰る家か。」

 アル「久しぶりに聞いたね、帰る家なんて。」

何やら意味深げなフレーズに、銀時は引っかかる。

 銀時「どうした?帰る家がどうかしたのか?」

 エド「いや、俺たちにはもうそんなものは無いんだなって、ふと思いだしただけさ。」

 銀時「ん?それは一体どういう意味なんだ?…俺には皆目見当もつかないんだが?」

 アル「焼いたんだ。自分たちの家を。」

その言葉に、銀時は固まった。今しがた自分の耳に入った言葉を疑った。

 銀時「おめぇら何やってんだよ!なんでそんなことを…」

台詞を言い終わる前に、背後から言葉を挟むものが現れた。先ほどまでエクソシストたちと話をしていた元就その人だった。

 元就「ああ、それには色々理由があるんだよ!っと、いきなり現れて大声を出すのは少しまずかったかな?…まぁ、わたしも始めて聞いたときは驚愕したけどね。思わず勢い良く出てきてしまった。」

 銀時「うん。そのリアクションになるのが本来フツーだと思うぜ、じーさん。で、なんでお前ら自分の家なんか焼いたんだ。なんだ?新手の反抗期か?」

 エドワード「ああ、あのことか。ん~そうだな~。どこから話したらよいのやら。」

元就は、エルリック兄弟たちの生い立ちについて、簡潔に説明を始めた。その話をエクソシスト達も興味を持ったのか、途中から話を聞くために加わった。元就の口調に熱が入ったからなのか良く分からないが、彼にしては珍しく冗長にならずに、彼らの生い立ちについて感動的なものとして説明出来たようだ。