幕間 3-2

 アタランテ「おーい。お前たち何をしている?なんだか楽しそうだな。」

どうやら、自分たちの乗っている車より先頭を走る車に乗っているアタランテ達も、車の中から顔を出し、町の方角を見つめているようだ。更に、山本は後ろにも目をやると、先ほど無線でやり取りをしていたヴァレンタインの乗っている車からも多くの面々が、というよりも、車を運転しているもの以外は全員車から顔を出していた。

 山本「ああ、町が見えてきたからちょっと顔を出したくなったのさ。…って君もじゃないかいアタランテ?」

 アタランテ「図星だ。恐らく、皆そうなのではないか?」

 山本「そうだな。皆目がキラキラしてるし。…特に、式が妙なテンションになっているのは滑稽だな。」

山本が式に目をやると、ものすごく目がきらきらしているのがよく分かった。普段のイメージとは全く異なるリアクションをとることがあると彼女の旦那からは聞いたものの、なるほど時々乙女っぽくなるというのはよく理解できた。

 式「おっ、う、うん。いや、なんだか素敵な街に見えてしまったので思わず。」

なんだか急に恥ずかしくなったのか、顔が火照っているのがよく分かった。なるほど可愛い。元々端正な顔立ちもあって余計にそう思うのかもしれない。

 式「なんだ!その顔は、そ、そんなにオレが可笑しいか?」

 山本「いやいや、気にしなくていいよ。そのままじっくり街を眺めているといいよ。」

そんな会話をしているさなか、山本が周りを見回すと、どうやら車の窓から一人だけ顔を引っ込めたものがいた。黒い剣士ガッツだ。

 ガッツ「…ん~」

そのまま自分の座っていた席に座りなおし、どうしたのか考え事を始めたようだ。彼のことを少し気にした山本は、彼が座った席の横までいどうする。近くで見ると、眉間に皺が寄っている上、頭髪が一部白くなっているからか、とても20代前半とは思えないほどのその風貌から、余計に深く悩んでいるようにも見える。

 山本「ん。あぁ、少し気になることがあってな。…よかったら少しばかり俺の話を聞いてもらえたら助かる。」

山本は、彼に何かしらのことがあったのだろうというのを察し、彼の言うことを聞いてみることになった。彼の口からは、山本の予想していない言葉であった。