幕間 3-3

 ガッツ「そうか。んじゃ、話すぜ。あの時、疑似蝕の時だ。俺は何者かよく分からねぇものに出会った。なんだかよく訳が分からんが、突然俺の目の前に謎の爺さんが現れてな。一回きりだったが、俺に魔術を使えるようにしてくれたっつうことがあったんだ。」

 山本「魔術?一体それはどんな。」

 ガッツ「【口寄せの術】とかいってたな。確か。」

ガッツは斜め上を向きながら、不思議そうな顔をする。あの時の感覚や感情を思い出しているのだろうか。怪訝な顔をした後、再びこちらのほうを向いた。

 山本「口寄せの術?確かに間違い無いのかそれで?」

 ガッツ「な、何だ?その言い回しは。」

 山本「言い回し?」

 ガッツ「そう、言い回しだ。なんか聞いたことがありますよみたいな口ぶりじゃねぇか。…まぁあんたいろんな世界を見てきたらしいからちったぁ聞いたことがあっても不思議じゃねぇか。…ん?どうした?」

 山本も先ほどガッツがしたように斜め上方向を向く。ただ、ガッツと違うのは、何か思いだしたかのような顔になっている点だ。山本は、ガッツの顔に視線をやると、彼に対して恐らくこういうことがあったのではないかということを話し始めた。

 山本「いや、思い当たる節があってね。もしかして、その人宙に浮いてなかった?」

 ガッツ「ん?ああ、確かそうだったな。一体どうして分かったんだ?なんか思い当たる節があるんだろ。」

 山本「そう、節がある。そして、今の言葉で確信に変わったよ。…その前に、まだ先ほどの話でまだ説明していない部分があるから、そこから言うことにしよう。…じゃ、元就公から聞いた話を先に教えてあげよう。その中に、君の言う謎の人物が出てくるから何かのヒントになるかも?」

 こうして、最後の説明が山本の口から直に話すこととなった。この話が終われば、いよいよ【山本誠一】という人物に何が起こったのか。ようやく話を始めることが出来、そして、物語は先に進み始めることが出来るのだ。