異世界侵攻録 進展 6
サーレー【たっ、助かったー!】
取り敢えず安堵するサーレー達。それを一瞬一瞥したのち、軍師陳宮は最後の仕上げに入った。
陳宮「さてと、どうやら足止めは出来たようですな。実に、実によろしい。…まぁできることなら相手を倒してしまっても構わなかったのですがそこまで酷なことは要求致しませんが。…さて。」
今度は朽木兄妹のほうを振り返り、軍師陳宮は口車を回し始める。
陳宮「さてさて、此度は我々の奇襲が成功したので何とか勝てましたが、正直このまま戦を続けてもどうしようもありませぬ。そこで、我々は兵を引き上げるつもりです。」
彼の口からはこの場にいる全員が思っていたことと違う言葉が出てきた。彼は、このまま兵を引き上げ何事もなかったかのようにこの世界から去ろうとしているのだ。
白夜「何?貴様、今何といった?」
陳宮「ん?兵を引き上げるといったのですが、何か問題でも?」
その言葉を聞いた途端、白夜の何かに亀裂が走ったようだ。それは、間違いなく堪忍袋というものだろう。
白夜「ふざけるな。これだけ凄惨なことをしておいて、何も盗らずに立ち去るだと。完全に我々を馬鹿にしているとしか思えんな。」
普段白夜は感情を表面に出す性格では決してない。だが、その彼がここまで口調が強くなるというのは妹のルキアでもあまり見たことが無かったため、彼女も驚きを隠せないでいた。
ルキア「あ、兄上がここまで激高なされるとは。…しかし、先ほどから敵は兄上をどうしようとしているのだ?何やら精神的につこうとでもいうのだろうか?」