異世界侵攻録 進展 7

 彼女は敵の考えをなんとなくではあるが読んでいた。だが、兄の白夜は基本的に表情を顔に出さないどころか、冷静沈着な性格のためよほどのことが無い限り怒ることは無いはずだ。しかし、【正義感】からくる怒りならどうであろうか。軍師陳宮の見せどころはそこにあった。

 陳宮「いやいや、盗るものはしっかり取らせてもらいましたぞ。…あなた方の自尊心を。」

 ルキア「何?自尊心?」

陳宮の舌は、更によく回り始める。次第にいつもの道化師じみた口調になり、相手に対して何も言わせぬというほどに喋りつくす。

 陳宮「そうです!自尊心!あなた方は我々【旅禍】と呼ばれる存在に二回目の侵略を許したのです!これは阿保らしいと思いませぬか、滑稽とは思いませぬか。そう、我々の目的はあなた方に隙あらばこちらはいくらでも勝つことが出来るという警告をしに来たのです!確かに、我々はあなた方の隙さえつかなければ勝つことは不可能!ですが、一瞬の油断を突けば我々でも勝てるということがこれで分かったのです。悔しいとは思いませぬか?格下の相手でも負けるときは負けるのです。完全に舐めきっていた相手に負けるというのはどのような気分ですかな?」

陳宮の良く回る口に流石に怒り心頭になったのか、白夜が斬魄刀を再び抜く用意をした。まずは良し。次は、始解の状態に持っていくことが出来れば良し。しかし、そう簡単にはそこまでもっていけないのも周知の事実。ただの人間である自分たちにはそこまでやるつもりはないだろう。そこで、陳宮は第二の手を使う。もう間もなく伝令が衝撃的な情報を持ってくるはずだ。

 伝令「そこの皆さんお待ちください。伝令です!呂布殿から情報を伝えに参りました!」

 陳宮「ほう、伝令とな?して、どのような情報ですかな?」

こんなことを言うものの、勿論陳宮は全て知っている話である。だが、精神的に追い詰めるため、陳宮は止めを刺しに来た。