異世界侵攻録 進展 12

 老人「ひゃひゃひゃひゃ。ようし、ようし。それでよい。お主の中にある心の暗黒面を解き放つのだ。

あまりに一瞬の出来事だったので、何が起こったのかマダラでさえ瞬時には理解できなかった。目の前には、激しいつばぜり合いをしながら怒りの表情を浮かべる白夜と、可笑しくてたまらないかのようにふるまう老人の姿であった。

 白夜「それ以上私を侮辱するのは看過出来ん。」

 老人「ほう、ならばどうするというかね。私の【ライトセーバー】に斬られるのかね若いの?

その老人が構えているものは、今まで見たことのない得物であった。持ち手の部分から伸びる光線が、刃の代わりになっているのだろう。仕組みはまったく分からないが、とりあえずつばぜり合いはできているようだ。

 マダラ「ほう、あれが【ライトセーバー】。はるか古代の武器か。そして、それを完全に使いこなせるのはほんの僅かという伝説上の武器でもある。白閃流とか使う男も似たような武器を使うが、性能はこちらが遥かに上だ。まぁ、お前たちもみればわかるはずだ。伝説の武芸【アタロ】の使い手である男【パルパティーン】の実力を。」

 そのあと、すぐに戦闘が始まった。白夜は、相手を確実に仕留めるために、急所を狙うように斬魄刀を振る。がしかし、白夜はすぐにそれが不可能であることを理解した。先ほどサーレー達と戦った影響であたり一面に広がっている岩や、荒れた地形を利用して跳ね回るという通常では考えられない戦法で戦っているのだ。相手の攻撃を躱しながら相手の頭上に飛びあがり、旋回又は前後転しながらかく乱するという技を目の前に、一体どう対応したらよいのか考える必要が出てきた。

 老人「ふむ、久しぶりだ。この剣を振り回すのも。…ただ、お主がわしの剣技についていけぬのは少々残念だ。

老人はあれだけ激しく動いているのに息一つ上がっていないのに対し、今まで見たことのない剣技に対応出来ていない白夜はすっかり息が上がっていた。

 ルキア「…何だあの武芸。今まで見たことが無い。」

 マダラ「ほう、そこの娘、お前もそう思うだろう。それもそうだ、この地球上には存在し得ぬ武芸だ。」

敵味方離れていながら視線がまったく同じ方向を向いている者同士は、いつの間にかその戦いに見入っていたようだ。