異世界侵攻録 進展 17

宙で制止したまま、それは動くことは無い。花びらがまるで時が止まったかのような状態になっているのみだ。

 サーレー「さらにだ。俺の力はそれだけではない。いま空中で制止している物体に力をためることが出来る。…つまりだ、その力はお前らが実際に味わってもらったほうがいいかもな。…食らえ、これがクラフトワークの力だ。」

一瞬の出来事、白夜達からすればそうだったに違いなかっただろう。無数の刃の花びらは、主のもとへ反逆するがごとく、元の場所に戻ってきた。

これで、全ては時間犯罪者たちの思惑通りの展開で、彼らの前段作戦は全て終了した。白夜が作り出した空間は消え去り、彼らはあとかたもなく消え去っていた。

 マダラ「…よくやった、これで安心して他の世界に移動が可能だな。よくやった一同。」

 老人「いやいや、儂も楽しめた。満足よ。皆もそうであろう。

全てを成し遂げた一同は、これからの展開に自信を持ちつつあった。あとは、本作戦へ移行するのみである。

 サーレー「まぁ、確かにそうなんですが。…俺は今、大変なことに気づいてしまったかもしれない!」

 マダラ「どうした?何か問題でもあったか?」

サーレーは、先ほどまで白夜達がいたほうを指さした。一同はその方向を見るが、そこには何も無い。ただ、塵芥が漂っているだけである。

 マダラ「あそこがどうした?何もないぞ、あそこには。」

 サーレー「そう!何もないんです!不思議ではないですか?【敵の血痕一つも残っていないなんて】。」

その言葉で、皆気づいてしまった。そう、先ほどの攻撃を受けたのなら、死体が残っていなくとも、彼らがいた辺りには、せめて辺りに血が飛び散っているはずなのだ。