喫茶店アーネンエルベ 2

 式「…さて、もうこんな時間か。しっかし、こんな都市にあんな怪物がいたとはな。」

彼女は、雇い主である【青崎橙子】という人物の下で雇われ、仕事をしている。相手は、有象無象の怪ばかりだが、彼女の【特異性】からは十分似つかわしい仕事内容であった。今回は、何かしらの怪物を【殺してきた】ところであったようだが、今回語るのは、その怪物退治ではなく、他のことである。無事に仕事を終えた彼女は、

 

 式「この街、なかなかに物騒だ。どうやら、つい最近【聖杯戦争】とかとんでもない事をやってたらしいじゃないか。それに、今回あんな【キメラ】と来た。何かあるんじゃないかこの街は。…とはいっても、オレの仕事はここで終わりだ。とっととトンズラここう。…さて、帰りにあれでも買って…ん?」

 

なんであろうか?その音は、【水】を帯びたものだ。…そう言えば、この辺りは田んぼが広がっているなとは思ってはいた。どうやら、こんな都市でも外れに来ると、古めかしい光景がある程度は残っているらしい。それなら、確かに水を帯びた音がしてもそんなに不思議な話ではない。田んぼには必ず水があるからだ。…稲刈りが終わる季節まではの話だが。

 

そう、彼女はそこに気づいてしまった。そう言えば、今季節はいつだろうということである。この時、彼女の体に冷たい空気が通り過ぎることさえなければ、そのことに気がつかず、何事もなかったことに出来たのだろう。しかし、彼女は気づいてしまったのだ。そう、季節はもう稲刈りが終わって秋を通り越してかなり立つ。それなのに、どういうことであろうか。時間帯がいくら夜でも目の前に広がっているのはたわわに実る稲ばかりだ。

 

 式「おいおい、冗談はよしてくれ。なんか草の匂いまでしてきたぞ。どーなってんだこの場所は?橙子のやつ、こんなことオレに全然教えてくんなかったぞ?」