喫茶店 アーネンエルベ 11

 潮【…よし、とら。あんまり騒ぐんじゃねぇぞ。もしお前がちょっとでも騒いだら面倒なことになるからな。】

そのお客とは、妖怪を連れた一人の少年であった。先ほど登場した【潮】と【とら】である。潮は、かごめたちが捜索していた近くで同様にこの店を発見し、空腹になった潮がここにしようと入店したわけだ。しかし、これには大きな問題点がある。とらの存在だ。そこで、とらは姿を消す能力で姿を極力見せないようにしてはいるので今のところは問題にはなっていない。

しかしである。万が一、とらが姿をばらしてしまった場合、かなり面倒なこととなる。ここは、おとなしく食事を済ませるのがいいだろう。

 とら【ああ、わかったよ。わかってるって。めんどくせえことはしねえって。しかしよ、よかったじゃねえか。山ん中にこんな立派な飯屋があってよ。】

 潮【そうだな。ま、正確には喫茶店っていうんだけどな。細かいことはどうでもいいからさっさと飯にすっか】

 

そうして、二人は静かに席に座り、メニューを見ながら何をいただこうか考えていた。そうしたら、またしても式が

 式「ん?そこの少年。君もそこの妖怪と何かを探索しているのか?」

このことばで、今までの考えがすべて台無しになってしまったのは言うまでもない。

 潮「えぇ!そこのネェチャンとらのことが見えてんのか!」

 式「ん?ああ、始めから見えてるんだが、てか、この喫茶店に今いるやつ全員そこの奴みえてんぞ。」

潮は驚くほかなかった。まさか、このとらの姿を見ることが出来る人が一日に4人も現れるなんて、思いもしなかったからだ。