緊急事態 3

 辻谷「いや、これまた急な…あなたがそこまで慌てるような事態とはよほどのことと見えます。それに、Aクラスの時空変動が起ころうとしているのですか?」

 司馬懿「そうだ!…もしや、まだあの話を聞いていないと見えるな?」

 辻谷「あの話?」

 司馬懿「そうだ。…もうそろそろ、そちらでは朝の七時半だな…。公共放送局を見てみろ。重大発表がニュースで発表されるはずだ。」

 その話を聞いて、桜島港の待ち合わせ場所に置いてある大型ビジョンで見てみようと一同移動を開始する。すると、山、山、山。人の山ができている。それもそうだろう。地元の人だけではなく、旅行客もその報道を見て驚愕の表情をしている。画面に映し出されているその人物は、何を隠そう。国際連合最高議長である【シーヴ・フィニス】その人である。

 最高議長「…その通りです。間違いありません。日本支部だけではなく、アメリカ、フランス、南アフリカ、インド、ブラジルでもテロが同時多発的に突如発生し、それと同時に多数の特異点が発生していることは紛れもない事実です。しかも、これらのテロには【異世界】からの異邦人が関わっていることがわかったのです。」

何ということだ!事の重大さは、この時代に住んでいる人々には瞬時に理解できることであった。特異点とは、すなわち歴史を意図的に変えようとしている者たちがいるということを表しているのだ。しかも、それと同時に、異世界の者たちが暗躍しているというあってはならないことまで議長は表明したのだ。

 リヒター「そんなバカなことがあるのか。もしや、【あいつ】が関わっているなんてことは…」

できれば、そうあってほしかった。だが、そんな彼に非情という二文字が付きつけられた。突如、ビジョンにニュース速報のテロップが表示された。その内容はこうだ。【テロ事件・多数の容疑者を特定。人類以外の種族も含まれているとの情報も】