冬木 泥田坊 9

 老人【まったくです。しかし、どうしてあの男を召喚出来たのでしょうか?あれほどの悪を呼ぶことはできないはずでは?】

 マスター【恐らく、聖杯に何かしらの細工をしたのじゃろう。…どうも、わしらが召喚されたのはまた別のものらしいがの。】

 老人【そのようですね。というよりは、それが普通の筈なのですが。】

怪訝な顔をする二人。これからどうするのかもまだ決めかねているところであった。だが、あの男に探りを入れなくてはならない。そこで、二人はあることだけはしなくてはならないということを考えていた。

 

 マスター【そうじゃの。その普通ではないことのためにやらなくてはならないことがある。】 

 老人【ええ、例の計画ですね。…やりましょう。彼らには申し訳ないのですが、やるしかないでしょう。】

 マスター【うむ、手筈通りに頼む。すまぬの。あの時にしろ、この時にしろじゃ。】

 老人【いえ、シスを倒すためです。我々がやるしかないでしょう。彼らに有効なのは我々だけですから。】

 

こうして、二人のサーヴァントのうち、一人が召喚されることとなった。一人は、もう一人を補佐することとなった。

そして、2017年のある日のカルデアから全てが始まった。

 

 老人【さて、これでよしと。…サーヴァントされているせいか…】

 ロマン【これで、ロマンと問題なく認識してくれるかな?…それじゃ、あとはよろしくダヴィンチさ…いや、ダヴィンチちゃん。】

老人は自分の姿を見、そしてある人物の記憶を刷り込ませ、【ロマニ・アーキマン】だと思わせられると確信をえた。

 

 ダ・ヴィンチちゃん「わかってるさ。大丈夫、どっからどう見ても君はロマンさ。安心してくれて一向にかまわないよん。…さっき聞いた話が事実なら私も喜んで協力する。…心配せずとも、カルデアの人間の記憶はすり替わってるから安心してほしい。…と言っても、それは僅かな時間だけだ。それまでに、目標を達成してほしい。」