冬木へ戻る聖職者  1

 

?「通りすがりの助っ人…とでも言っておこうか。おや?神妙な顔だね。いきなりこんなみすぼらしいおじさんが急に現れて拍子抜けしちゃってるみたいだしね。」

 

彼の言う通り、その男は見るからに怪しげな雰囲気を醸し出している。だぼだぼの服に古ぼけた帽子。しかも、服の色が茶色ということがさらにうさん臭さを増加させている。そして、無精ひげまで生やしているとなると、よりそれらしく見えてしまう。聖職者たちは、始めはあまりのうさん臭さにそのままスルーしてやろうかと思ったが、ここはそのまま話だけでも聞いてあげることにした。

 

 言峰「ま、確かに拍子抜けはしたよ。君のような悩みなき者が冷やかしに来たら何とも言い難い気持ちになる。」

 ?「それはすまない。…おっと、そういえば、自己紹介がまだだったね。私の名は【アーデン】。これからあなた方の協力をしておこうという者だ。よろしく頼もうかな?おっと、そういえば、あなたたちが探しているものをちょこっと持って来たんだけど、見てみるかな?」

 

アーデン。そう名乗る男は、軽く会釈をした後、懐から何やら取り出し始めた。それを見た聖職者たちは、一瞬わが目を疑う。それは、彼らが探し求めているものの一部のまさにそれだからだ。

 

 プッチ「む、まさかそれは【石版】!一体どこでそれを!」

 アーデン「いや、ちょっとしたことで手に入れちゃったんだけど…あいにく俺には必要ないものだ。…よかったら、君たちもらってくれないかな?」

アーデンは手に持っていた【石版】を三人組に投げた。あまりの扱いの雑さに三人は慌てて宙に舞う石版を、やさしくキャッチする。