冬木へ戻る聖職者 5

 プッチ「困りましたね。暗号ですか。誰か、読める人を探す必要があるというわけか。」

 ゲーニッツ「ふーむ。キリル文字なら読めるのですが、言峰神父でもわからないとなると…困りますね。」

 言峰「ああ、そういうことになる。仕方がないので、この文章がわかる者を探さねばならん。…そこでだ。我々が三人固まって移動するより、ここは、別れたほうが効率がいいだろう。文章の内容は、コピーして各自、手元に持っておけばいい。」

 

残りの二人も納得したようだ。さて、彼らはさっそく散り散りになって捜索を開始する。現時点で、教会は再び空になった。言峰教会は、今日の夜までお休みである。

 

 その様子を、こっそり見ていた男が一人いる。アーデンと名乗った先ほどの男だ。草葉の陰で、誰にも気づかれないように伏していたが、三人が行動を開始したのを合図に、彼も何か準備を始めたようだ。

 

 アーデン「さて、三人がここから出ていった所で、私もやるべきことを始めとしようか。」

アーデンは、そのままこの場を立ち去り、丘の上に立つ教会から離れる。そして、そこから少し離れたところにある茂みの奥へそのまま入っていき、誰もいないことを確認して誰かを呼び出すようにさりげなく声を出す。

 

 アーデン「大丈夫だ。ここなら実体化をしても構わないんじゃないかな?周りに誰もいないようだしね。」

彼の呼びかけに応じ、彼のそばでずっと霊体化していた【セイバー】サーヴァントが現れた。戦国時代の甲冑を身にまとい、顔立ちは、まさに威風堂々たる表情をし、覇者にふさわしい風格をしたその偉丈夫は、自分と真逆である性格を持つ人物【アーデン】に語りかける。