テロ 6

 銀時「よし、なら逃げるぞ。…後のことは逃げきってから考えるわ。」

 隊員「分かりました。ささ、こちらへ。こちらからなら安全に逃げられます。」

そのまま銀時は、自衛隊員である若者に連れられて、撤退を開始した。

そのころ、謎の男と戦っているエルザは、相手に決定打を中々与えることが出来ずにいた。

 エルザ「くっ、かすり傷一つもつけられないとは。貴様、相当な手練れと見受けられるが、一体何者だ?」

恐らく、戦闘が始まってから10分程経っただろうか。それだけの時間だけでも、相手の剣さばきや謎の超能力が並大抵でないものだと感じ取っていた。しかもだ、エルザが話しかけてもその男が黙ったままということである。

 男「…」

その男は、黄色い瞳で只こちらをじっと見るだけだ。赤く光る両刃を構え、相手を只斃すことを考えているだけだ。エルザも、己の魔法で召喚した数多の剣を再び宙に舞わせ、相手に雨あられの如く降らせるのが次第に精いっぱいとなってきたが、それもすべていなされるばかりで、しかも、その剣がその男の謎の力で空中で止められた後、自分に返ってくるでけである。

 男【やはり、この者では俺を満足させられない。やはり、あの男だけだ…あの男○○○○だけが俺を満足させられる。…しかし、今はマスターの命に従うのみ。今は、目の前の障害物を止めるのみ。】

そうして、謎の男は再び赤い両刃を構えなおす。エルザは、その淡々とした様子から、その男がまるで感情が無いキリングマシーンのように思えてならなかった。