モールとその師 1

突如、それは現れた。一体どこからそれは出てきたのか誰にもわからない。が、しかし、その暗黒を体現したその男は間違いなく現れたのだ。一歩一歩、この荒れ果てたこの階層にいる彼らのもとへ近づくとともに、急にあたり一帯の空気が重くなり、息苦しささえ感じるようになった。

 エド「な…何だ?!急にあたりの雰囲気が変わったぞ。」

 アル「そうだね兄さん。一瞬、僕たちが暴れすぎて空気が汚れちゃったかなと思っていたけど、そんなことじゃない。」

 銀時「ああ、こりゃああれだ。場の雰囲気をがらっと変えちまうほどの大物さんが現れちまったってとこだな。」

彼の言う通り、その老人は、何かしらの底知れぬおぞましい空気を発している。そのような中でも、ただ一人、テロリストこと【ダース・モール】のみ平然としている。それどころか、その老人のいる方向を向き、何事もないように跪いたのだ。

 銀時【おいおい、何なんだあの爺さん?あのテロリストの指導者かなんかか?…そういや、あのテロリスト、どっかできいたことあるような名前だな…なんでだろ、思いだそうとしても頭に霞がかかって思いだせねぇんだよな。

それでも、銀時は頑張って思いだそうとしても全く思いだせない。いや、そんなはずはないはず。何故なら、それは最も有名な物語の一つの筈だからだ。

 老人【残念だがそれは不可能だ若者よ。我々のことを詮索はできぬ。真名を我々から明かすか、それとも、我々以外に真名を看破するものがおらぬ限りな。】

驚いた。まさか、その老人は銀時自身の心の中に直接語りかけてきたのだ。あまりにはっきりと聞こえたので、周りにも自分が聞いた声が聞こえているはずだとはじめは思ったものの、どうやらほかの4人は何も聞こえていないようなのだ。

 銀時【畜生、対策済みか。何なんだあいつら!何の目的でここにやってきたんだ。】