モールとその師 4
さて、この事件を起こしたテロリストの二人は、自分たちのねぐらへ戻っていた。時は、21世紀初頭の日本の地方都市【冬木市】に存在する【大空洞】と呼ばれる巨大な洞窟である。
ゼーナ「あら、戻ってきたのね。どうだった?なかなか有能な面々じゃない彼ら?」
皇帝「そうよなぁ。まだまだ青いが、将来有望な若者であろう。…今のうちに潰しておく必要があろうて…」
何のためらいも無く恐ろしいセリフを吐くその老人に、流石に彼女も驚いたようで、その顔を彼に見られないようにさりげなく振り返った。考えを見透かされないようにだ。そのまま、彼女は声だけは冷静さを装っていたが、心中は恐れていた。
ゼーナ【物騒なものね。一歩間違えれば、この私でさえ殺せる力を持っているサーヴァント、注意をそらしたら終りね。】
彼女は、大空洞の最深部に建設したこの小さい研究所の中は、何とも言えぬ重苦しい雰囲気にのまれていた。彼女は、その小さい研究室に置いてある唯一のテーブル【机ではない】に、左手で持っていたコーヒーカップをそれに置いて気持ちを落ち着けていた。すぐに精神を落ち着かせ、窓の外から見える大空洞の中心を見つめながら会話を続ける。
ゼーナ「そうね…。敵は少ない方がやりやすいといえばやりやすい。そうそう、話変わるけど、こっちはもうそろそろ準備ができたわ。あのカルデアとかいう機関からサーヴァントをありったけ強奪してきたけど、こんな感じでいいかしら?」
ゼーナは、この研究所にふさわしくないほどの大きさの立派なモニターに彼女が選んだ多くの英霊たちのリストが映し出される。
皇帝「ふむ、こちらで用意したサーヴァントを含めればこれで問題は無かろう。…さて、後はあの男がこの時代に戻って来次第作戦を開始する。決して逃してはならん。…おお、長話をしておれば、帰ってきたか我が最初の弟子よ。」
声の先には、その老人の弟子の一人であるモールが現れた。見張り番から戻ってきたとの言うことだ。